自分の体で実験したい〜命がけの科学者列伝〜

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

毒キノコだって、ふぐだって、それが毒だと知ることができたのは、命を落とした者がいたからなのだ。
身体にやさしいとされる漢方薬だって、誰かの身体を使ってこそ効用が確認されたものが使われてるんじゃないかな。


この本では、動物実験等の末に自らを被験者として、現在の科学・医療に大きな貢献となった功績・発見をした人たちの例を挙げている。
ノーベル賞をとった実験もあるし、多くの人命を救ったものもある。
危険を伴う病原菌の実験や発見の効果を確信するために、使えるのは自分しかいなかったというのは分かるのだけど、そこに至る経緯はそれぞれだ。
実験途中や後遺症で亡くなってしまった人もいる。
自分に病原菌を注射したり、ウイルスを持った蚊にささせたり、消化のしくみを知るためにあれこれ飲みこんだり吐き出したり。


取り上げられた科学者たちは以下の通り。
・人間はどれだけの熱に耐えられるか、なぜ人間の体温は変化しないのか:ジョージ・フィーダイス(イギリス・1770年代)
・「消化」を解明:ラザロ・スパランツァーニ(イタリア・1770年代)
・麻酔の発見:ウィリアム・モートンとホレス・ウェルズ(アメリカ・1840〜1870年代)
・ペルーいぼ病:ダニエル・カリオン(ペルー・1885年)
・黄熱病:ジェシー・ラジア(キューバ・1900〜1901年)
ラジウムの発見とガン治療:キュリー夫妻(フランス・1902〜1934年)
・地下鉄や炭鉱等の有毒な空気調査:ホールデーン親子(イギリス・1880〜1940年)
カテーテル:ヴェルナー・フォルスマン(ドイツ・1920〜1950年)
・時速1017kmを体験し、スピードの人体への影響を実験:ジョン・ポール・スタップ(アメリカ・1940〜1950年)
・洞窟にこもる:ステファニア・フォリーニ(アメリカ・1989年)


散りばめられた写真が印象的。