あの日

あの日

あの日

渦中の時は、報道から真実なんて出てこないと思っていたので、ほぼスルーしていた。
興味があったのは「STAP細胞って、ほんとにあるのかな」ということだけだった。

あの1件が落ち着いた今、何を信じるかは人それぞれとして、小保方さんの声をちゃんと聞ける機会ができてほんとに良かったと思う。
そして、この「解決」がまた考える部分が多い。


研究という分野にある、ロマンと背中合わせのドロドロ。
権威ある先生と若い研究員の溝。
マスコミの恐怖、凄まじさは記者の実名入りで記載されている。


仮説というストーリーに合った都合の良いデータだけを採用し、不安材料データはなかったことにする。
「ウソではない」というレベルを真実に祭り上げるまでの行程には、小さいのにあまりにも重大な事実たちが潜む。
これは小保方さんにも誰にも止められなかったのが理解できた。(納得したわけではなく)


見えない恐怖に追い詰められていく様子は、まるでホラー映画のよう。
いわゆる暴露本なのかもしれないけれど、研究の世界の常識や研究内容についての描写は興味深い。
小保方さんの感性もおもしろい。

真っ白な表紙には、タイトルと著者名だけ。
彼女がひどい衰弱に落ち込みながらも死を思いとどまってくれて、良かったと思う。
できることなら、彼女にもう一度、研究や実験をさせてあげたい。