尼さんはつらいよ

尼さんはつらいよ (新潮新書)

尼さんはつらいよ (新潮新書)

尼さんの実態に迫る。
「こんな世の中、おさらばよ!!!出家するわっ!!」とは言ったものの、どうすれば出家できるのか困ったことはありませんか?
(私は出家願望を持ったことがありません・・・)



大体、「尼僧」の定義って曖昧らしい。
それでも、尼僧の資格というのは一応ある。
宗派によって、どの修行を重視するかが違ってくるらしいけれど、本格的な尼僧を目指すための学校(道場)もあるんだね。
真言宗なら、高野山尼僧学院。浄土真宗は、在家仏教なので、修行に専念するための道場はないとのこと。
剃髪は、修業期間が終われば、してもしなくても良いそうな。



比叡山での修業はキツイそうだけど、「キツイ」にはいくつかの意味がある。
早朝・長時間の修行もキツイけど、音を立てずにタクアンを食べなくてはならないのもキツイ。
タイミングをつかみ損ねて、シーンとしている時に食べ始めてしまったら、口の中に「保存」しておいて後で噛んで飲み込むとか。
食べ終わった食器をきれいにする方法は、お行儀どころの話ではないみたいよ。



・尼僧さんの実生活って?
お坊さんの世界って、男性社会&縦社会。
仏様一筋の清々しい生活を思い描いていたら、俗世よりドロドロしていたり。
本当に仏道に専念したい人が、そういう生活を実現できる寺にはいるなんて至難の業なのだそうだ。
著者も実際に、後継者を探している寺にはいってみたものの、理想とは程遠い実情だったため、また出たり。
老後が不安な「職業」でもあるので、安定を求めて右往左往する尼さんもいるらしい。
尼さんになってから、煩悩に翻弄され、やがて著者は「職業」としての尼さんは自分に合わないことに気付く。



著者は、会社経営までしていたキャリアウーマンだったのに、興味を持っていた仏道へ。
もともとデザインの事業をしたり、仏教に関することを京大で勉強したりと、とてもパワフルで集中力のある人だけど、純粋に仏様に惹かれて、その道に全力を注ぎたいと願う現役の尼さんなんだね。



出家と尼さんになることは、同義ではないことにあらためて気付く。
そういえば、武士の時代、高貴な女性がよく「出家」するけど、あれは一体どういうことなのか?
そんな尼さんの「システム」も説明されている。



尼さんになる人は、大きく3つのタイプに分かれるらしい。
1.失恋などで悲観的になって、俗世から離れたいと思ってくる現実逃避型
2.もともと霊感が強かったり、占い師をしている人。尼さんの資格があれば、そういった仕事をする上でハクがつくと考える人もいるとか。
3.仏に導かれて、自然にやって来た人


一般的なイメージと裏腹に、狭い世界でドロドロした残念な尼さん生活もがっつり経験してきたため、1の人には向かないとアドバイスする。