作家、音楽家、推理作家、芸術家の家
「作家」「音楽家」「芸術家」「推理作家」をそれぞれが住まう家という視点で紹介。
作品が世に出ることはあっても、その作品を生み出した家が人目に触れることは少ないと思う。
でも、少なからず作品に影響を与えていたり、その人の生き方を表していたりするので興味深い。
取材からこの本の刊行まで、さすがに結構時間を要しているので、その間に紹介された人の人生に変化があったり、亡くなっていることも。
なかなかOKとは言わないような方も応じてくれていて、すばらしい家ばかり。
仕事場兼自宅であることが多いので、居心地重視。
失礼ながら、文筆や芸術でこんなに豪奢な家に住めるのかと驚いてしまう。
「作家の家」
- 作者: フランチェスカプレモリ=ドルーレ,Francesca Premoli‐Droulers,Marguerite Duras,Erica Lennard,鹿島茂,博多かおる
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2009/02/01
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コクトー、ヘミングウェイ、ウィリアム・フォークナー、マーク・トウェイン、ヴァージニア・ウルフ・・・
私が中2の時に捉えられたヘッセも。
文章にとって行間が大事であるように、作家にとって、住まいの空間は重要なのだろうな。
じっと座ってペンやタイプライターを動かすのに、こんなにスペースは要らないのではと思ってしまうのだけど、想像力はすごい勢いで駆け巡り、その疲れを癒すには作家の体の何十倍もの空気が必要なのだろう。
そして、空間こそが作家を充電してくれるものなのだろう。
と、思わせる家ばかり。
作家20名分。
一言で表現するなら、
無限大の想像力の充電器。
「音楽家の家」
- 作者: ジェラール・ジュファン,クリスティーヌ・バスタン,ジャック・エヴラール,博多かおる
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2012/12/14
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いや、それ、宮殿だから。
みたいな。
「音楽家」と呼ばれた人たちが音楽を奏でる相手の文化、つまり貴族や高貴な人々であったためか、住まう屋敷の赴きもそんな感じ。
社交の場も兼ねている場合もあるしね。
華麗さと重厚さのランデブー。
音楽家たちの紡ぎ出す音楽が在るべき空気。
音楽家23名分の家たち。
一言で表現するなら、
演奏が始まる数秒前の完成された瀟洒な静寂。
「推理作家の家」
- 作者: 南川三治郎
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2012/05/17
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大成功した実業家か、貴族かという雰囲気も。
4畳半で書きながら、ツケで酒買ってウサばらし・・・みたいな昭和初期の文筆家を想像していたら、唖然としてしまう。
読者を驚かせることを生業としているだけあって、楽しむことを知っている家々。
でも、執筆の下調べや勉強をしているから、ちょっと研究室のような空気も。
精神的に参った時に瞑想するために、海から海水を引き込んだ瞑想ボックス(大型の焼却炉に見える)を作っている人も。
推理作家になるまでの遍歴がそれぞれで、議員を兼業していたり、保険代理業だったり、秘書や客室乗務員、エリザベス皇太后のお抱え騎手・・・実際に検死局で働いていた人も。
趣味も色々。
取材時の出来事や作家とのやりとりも書かれていて、とても楽しい。
作品は世の中を駆け巡っているけれど、推理作家自身が人前に出ることは少ないんじゃないかな。
それにしても、取材を行った南川三治郎さんって、作家の表情を引き出すのが上手い。
家の写真ももちろんだけど、人物がとても素敵。
推理作家30名分の家たち。
一言で表現するなら、
推理作家が一番アヤシイ。
「芸術家の家」
- 作者: ジェラール=ジョルジュルメール,G´erard‐Georges Lemaire,Jean‐Claude Amiel,矢野陽子
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2012/02/01
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描いたり、創ったり、彫ったりが終わり、完成したかのように見える作品にまた手を加え、色を塗り、削る。
秩序と秩序の間に情熱が潜んでいて、油断ならない雰囲気。
紹介されているのは、故人の家ばかりなのに。
モネの家には、日本画がいっぱい。
絵画だけでなく、美術全般を含めた芸術家14名の家たち。
一言で表現するなら、
絶対に完成しない家。