カラスはなぜ東京が好きなのか

カラスはなぜ東京が好きなのか

カラスはなぜ東京が好きなのか

嫌われることが多いカラスですが、私は好きです。
漆黒でかっこいいし、結構カワイイお顔。




著者は、日本野鳥の会評議員等を務める鳥のプロ。
あるきっかけで、六義園を中心にカラスの生態を調べ始めた。
こんなに身近な鳥なのに、よく知られていないんだね。
寿命も8〜20年と説が色々。





通常、鳥の雛はピィピィと甲高く遠くまで聞こえる声で鳴く。
この声を聞くことで親鳥は「エサを捕りにいかなくちゃ。早くごはんをあげなくちゃ」と刺激されてでかけるのだそうだ。
でも、カラスの雛はピィピィとは鳴かない。
どう鳴いているのか、まだ不明らしい。
カラスだから、やはり、






かーちゃん、かーちゃん




かな。





・・・・すみません、すみません。







調査は大変だったみたい。
住宅地を双眼鏡を持ってウロウロしたり、人の敷地を覗きこんだり(正確には、敷地内の樹)するわけだから、完全に不審者。
奥さまを伴ってみたりもしたけど、それでもアヤシイ人に変わりない。




生息数もカウントが難しい。
巣はあっても、ねぐらはまた違う場所にあるらしい。
ねぐらにはなん百というカラスが集まって休む。
東京の江東区あたりになると、巣は東京でも、ねぐらは千葉という「千葉都民」カラスもいるし。
2002年までは3万5〜6千羽いたけど、2004年では2万以下になっているそうだ。





なわばり意識は、かなり高い。
なわばりをまだ持てず、自然の食べ物も少ない冬に食糧難で若鳥が死ぬケースが多いとか。
カラス退治策で巣落としして、生まれたばかりの雛を殺さなくても、ゴミ置き場の管理などをきちんとすれば、自然に減っていくんだね。
なわばりにウルサイのだけれど、babyが「HELP!」(とは言わないけど、独特の鳴き方がある)と鳴くと、なわばり超えて、100匹以上のカラスがbabyを助けるために集結するらしい。
これは怖い。





カラスの巣がどんなところにあるか。
意外と身近な公園の樹や街路樹の上にあるけど、見つけるのはなかなか難しいらしい。
巣は、試作品もあるし、うまくいかないと途中で作るのをやめてしまうし、毎年新しい巣を作るから、カラスが住んでいないものを含めたら、かなりの数になるのに。




子育ての時期のカラスは攻撃してくるからコワイと言われる。
でも、実際は、



1.見張り場から飛び立って、近づいてくる
2.人間の上空で鳴く
3.近くの樹や交通標識にとまって鳴きたてる
4.更に近づいてくる
5.とまっている電線をつついたり、木の枝を折って落とす←逆鱗状態らしい



5.の逆鱗状態ではかなりのパニック状態らしく、夫婦で人間に威嚇してるうちに混乱し、夫婦喧嘩を始めちゃうこともあったり。
だけど、くちばしでつつきに来るなんてことは滅多にないみたい。
私は、自転車での通勤中に一度だけ、帽子を足でつつかれたことがあるけど。





そうそう、カラスに限らず、ずっと抱いていた疑問が1つ解けました。



これだけ野鳥がいるのに、死んでいるのを見たことがない。
どうして?




分かりにくい場所で死んでいるし、都会だとすぐに死骸を片づけるんだよね。
大きい鳥が食べてしまうこともあるし。




新鮮な驚きがいっぱい詰まった本だったなあ。