工場マニア!
- 作者: 講談社ビーシー出版部
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「巨大工場の機能美とそのしくみに迫る!化学工場から最新メカ・日用品の製造まで」
大量生産のモノより職人さんの手作り品が好きな人は多いと思う。私もそう。
だけど、工場って、職人の技と知恵と欲望の結晶とも言えるよね。
1つの企業組織の中には、経営、営業、人事、法務・・・と多くのポジションがあるけれど、これらが支えるのはモノを作る現場。
オートメーションといっても、最終的には人の経験やモノ作りへの真剣さが支えてる。第六感まで使った仕事なんだよね。
空調が使えない場もあるし、24時間体制の場もある。
この本には、有名企業の工場が、普段見ることはできないたくさんの写真と共に紹介されている。
製品を造る直接的な機械だけでなく、付随する作業や検査に必要な機器や器具もまた、技術や現場の想いの結晶となっているのが分かる。
巨大な工場である三井造船は、造るものも巨大。エンジンを造るだけでも1ヶ月かかる。
効率の視点から、ひとつの町くらいある敷地で船のすべてが造られる。
重いもので10tある鉄板を持ち上げるのは、電磁石式のクレーン。どれだけ強い磁力なんだろう。
驚いたのは、この鉄の工場に宮大工にも劣らない技術を持った「大工さん」がいること。
船の立体的な部分の木型を造るのが仕事。この木型のおかげで、2〜3週間かかる曲げ加工が2〜3時間で終わるのだそうだ。
造るものが巨大でも小さいものでも求められる精緻さは変わらない。
シャープ亀山工場は、世界で初めて液晶テレビの一貫生産を実現した。
しかも、シャープが蓄積した環境保全技術の集大成と言われるほどの「スーパーグリーンファクトリー」。
家電販売店で「亀山のテレビをください」と指名買いするお客さんもいたほどだそうだ。
工場の質の高さが製品の質につながった好例なんだね。
ANA4機体メンテナンスセンターの整備士は、国家試験はもちろんのこと、機種ごとの社内試験に合格しないとその飛行機の整備をさせてもらえない。
飛行機の安全のための道具は大事。
工具箱は、整備士一人ずつに専用のものが与えられるそうだ。
トヨタももちろん登場。
数多いネジをしめるのは人間の仕事。
そのしめ忘れをチェックするシステムが用意されている。「ポカヨケ」って言うらしい(笑)
新日本石油の常圧蒸留装置の紹介では、作る過程でガソリン・ジェット燃料・灯油・軽油・重油などがどう分かれていくのかが分かる。
身近な食品を製造するサッポロビール、日清食品なども。
キューピーの卵割り。人間が卵を割るようなやり方で割るのだそうだ。1分間で600個。
生活必需品の工場では、大日本印刷、富士電機リテイルシステムズ(自販機)、ジーパンのビッグジョン、河合楽器。
そして、ガンプラのバンダイホビーセンター。
トンボ鉛筆は、1本造るのに伝統技術により1週間をかける。
オカモトの避妊具の製造・検査もものすごいよ。
JR九州 川内車両基地、JFEスチール、NBKなども登場。
工場や工程をを知ることで、完成品への愛は増しそうだね。
たとえば目の前にあるPCのモニター1つ、部品を買ってこないと自分では作れない。
材料を混ぜて溶かして型をとるなんて不可能。
日常の基盤を支えている工場のすごさに、マニアじゃなくてもコーフンするんじゃないかな。
昔、飛行機の機体整備場を訪ねた時のドキドキを思い出したよ。
見学ができる工場の紹介もあり。
ところで、この「マニア」の本はシリーズで、他に「警察マニア!「消防マニア!」「分解マニア!」「気象マニア!」「極地マニア!」「操縦マニア!」などなど、あるみたい。
「分解」と「操縦」を読んでみる!
マニアじゃないけど!