世界三面記事全書

図説 世界三面記事全書

図説 世界三面記事全書

三面記事やゴシップって、興味もてない。





とはいうものの、そこには人の「・・・だったら、いいのにな」が詰まっているのも事実かも。
刺激的で非日常的で、しかも自分が現実で体験するのは難しい(したくない)。
求めるは、





不幸なヒーロー(ヒロイン)





だから、真実を誇大し捻じ曲げてでも話を作り上げる。
三面記事はなくならないのだ。




その歴史は古いらしいよ。
15世紀半ばにフランスで、印刷術が生まれたことで、ニュースを伝える1枚紙の瓦版が発行された。
その情報誌「オカジョネル」(=不定期の意)は、その後300年にわたり、センセーショナルな事件を伝えていく。
現代では、内容の正確さを求められ、「ヤラセ」も引責問題にまで発展するけど、当時はニュースに日付ははいっていないし、同じ事件が何年にもわたって場所を移しながら内容を変化させながら伝えられていく。
民話みたいなものなんだね。




テーマは、昔からずっと変わらないみたい。
「アルコールやギャンブルが原因の悪事」「貧困や嫉妬から起こる悲劇」「自殺」「不審火」「狂信」「復讐」「遭難」「奇跡的な救助」・・・そして、おぞましい、残酷な、血まみれの、あるいは突飛な、あらゆる種類の犯罪。




挿絵も使いまわしたりしてるらしいけど、その事件の山場を捉えたものが多い。
残忍で、衝撃的な劇画調。
これは、「妻が病院で横たわる夫の命を断つ」ニュースの挿絵。
記事を読まなくても内容が分かる。
実際のところ、字が読めない者が多い層の「楽しみ」の1つだったのかもしれない。




三面記事ビジネスもその頃から生まれていたらしい。
町の新聞売りが、書かれている記事に関連する小さいものを売っていたとか。
「犯罪者の歩みをたどるゲーム」(使用するカードの裏には、犠牲者や死体、拷問の道具が描かれている)があったり、知名度の高い犯罪者が自分の肖像権を会社に売って、Tシャツを作ったり。
食人犯の冷蔵庫のミニチュアが売られたり。





モラルとか人権が主張される同じ世の中の出来事と思えない。
でも、この二面性こそ人間らしいというべきなのかな。
うーん。





世界的に有名な古典文学も三面記事にヒントを得て書かれたものが少なくないとのことで驚いた。
シェイクスピアジュール・ルナールの「にんじん」もダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー」もスタンダールの「赤と黒」もトルストイの「アンナ・カレーニナ」も。



こういった三面記事の歴史や背景の解説が約50ページ。
そして、あとの300ページは世界中の三面記事をカテゴリーに分けて紹介。
(読み切るほどの執着心が持てなかった・・・すみません)