私の部下はイギリス人 アングロサクソンが世界を牛耳っているわけ

私の部下はイギリス人―アングロサクソンが世界を牛耳っているわけ

私の部下はイギリス人―アングロサクソンが世界を牛耳っているわけ

英国に友人がいる方は、少し気を悪くするかもしれない。
日本企業の英国支社社長が吠える。
著者が30年以上の海外勤務(米、豪、英)を実際に経験したからこそ見える、売り上げや業界紙に表れない人種の差。歴史にもとづく根深い差別。
外国で働く者なら、その国に対する親近感・尊敬と同時に、どうしても越えられない壁を感じながら過ごしているであろうと著者は言う。
笑うに笑えぬ実例多数。



「コーヒーが飲みたくなった。ユーもどうかね?」




と上司に声をかけられたら、要注意なのだそうだ。



日本では、失態をした社員に対して、みんながいる前で怒鳴りつけたりするが、英国ではそれはない。
オフィスに上司専用の個室があるのは、いやーな話をじっくり当人に伝えるためでもあるそうだ。
話題は、「君の成績は悪いねえ。クビも考えなくちゃね。」という内容なのに、ガラスの外から個室の中を見ると、上司がニコニコと穏やかに部下と談笑しているようにしか見えなかったりするそうだ。




著者は、英国人はなぜそんなにおしゃべりなのかと愕然とする。
社内でもとにかくよくしゃべる。たわいもないことを。
寡黙を徳とする日本人は蚊帳の外だ。
体の機能(肺の大きさなど)も子音が多くしゃべりやすい英語ということもあってのことかと分析する。




コーヒーを飲むにも、



レギュラーか、デカフェか?
砂糖は角砂糖か、粉砂糖か、砂糖なしか?
角砂糖ならいくつ入れるか、粉ならスプーン何杯か?
ミルクか、クリームか?
クリームならフルファットか、ハーフか?




という秘書の全ての質問に答えなくてはならない。




「みんなと同じでいい」
「よしなに」




なんてありえないのだろう。



これは個を大事にする文化の表れでもあって、逆に他人にことは全く構わないという場面も出てくるそうだ。
例えば、夏のロンドンで毛皮を着ている人がいても、誰も振り向かないと。




英国人は会社でなくても背筋を伸ばし、堂々と歩く。
言いたいことを言える文化なので、相手に伝えるための姿勢となると、自然とこうなるらしい。
一方、日本人はうつむき加減で目を合わさない。
ああ、それから、業務上で慌てる事態が起きても、英国人は会社で走ることなんてしない。
一方、日本人は階段を一段飛ばしで登っていく。
そんな差異も。




アングロサクソンは、ドジ人間や融通のきかない堅物やバカ正直人間を愚弄する。
そして、たとえ悪事でも、知恵を尽くして他人を出し抜く才能のある者を礼賛する傾向がある。
そんな英国人を著者は、「生き馬の目を抜くアングロサクソン」と表現する。




また、英国では「わが社の可愛い社員」という考えは金輪際ないそうだ。
社員にも「会社のために」という意識は金輪際なく、自分のキャリアアップしか考えていない。
今いる会社で業績をあげ、業界で名を売り、よりよい会社に移り、また少しがんばって業績をあげ・・・とキャリアの階段をのぼっていくのが目的。
がんばっている社員を見て、幹部は目じりを下げて喜んでいる場合ではない。
その社員は、ヘッドハンターからの電話を待っているだけなのだ。



では、そういう階段を登れない「優秀でない社員」はどうするか?
悪知恵を働かせて、なんとか会社を利用しようとする。
ペテンでもなんでも使って、会社から金をせしめようとする。
苦情を申し立て、賠償金や示談金を巻きあげるのだ。
仮病の病欠やたるんだ業務態度でいると、日本では周囲からの圧力で居づらくなり、自分から辞めるかもしれないが、英国では平然と居座る。解雇などを言い渡せば、会社を訴えるのだ。
というか、その時を虎視眈々と待っているらしい。
できない社員を励まし、機会を与えようなら、周囲にエコひいきだと責められるだけでなく、本人からも「不当にプレッシャーを与えられた」と訴えられちゃうのだ。



その社員が会社の金を使い込んでいて、明らかに悪い場合でも、「いっちかぱちか」で会社の弱みにつけこんで示談金がもらえる可能性があれば、レッツトライ。
裁判に持ち込もうとする。
このチャレンジング精神はいたるところで見受けられるそうだ。
店員がわざとおつりを少なく渡して、お客が気付いたらニヤニヤしながら不足分を出すとか。
すでに払ったはずの請求書が何度も届くとか。
うーむ。狩猟民族。
待っていても、獲物は手に入らないとDNAが教えるのか。



バカだから、ハメられたのだ。
騙されたやつが悪い。
盗られた奴が馬鹿。


著者の、自分もハメられたり、落ち込んだりしながらの体験をもとに分析。
海外勤務は、英語ができればいいってものじゃないらしい。


少なくともビジネスではそんな風潮なのかな?