帰ってきたソクラテス
- 作者: 池田晶子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/03/28
- メディア: 文庫
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とはいうものの、現職議員と議員志願の青年とで、政党助成額について語る場面では、
「僕は数字の話は駄目なんだ」
なんだか頼りない。
ところが、見えていることや自分が考えていることだと思い込んでいた思い込みな事象について、一枚ずつ皮をむいていくように、本質や真の姿を見せていきます。
最後には、熱く主張していた対談者がだんだん黙っていくあたり、水戸黄門の「この紋どころが目にはいらぬか」的な雰囲気。
美学とされている器には、偽善や傲慢が満ちていたりする。
ぷぷぷと笑ってしまう対談者の顔合わせと会話。
ソクラテスとイエス・キリストと釈迦の対話では・・・
ソクラテス:「汝の敵を愛せよ」って言われりゃさ、ない敵もあることになっちまうことだしね。
イエス:あーあ、言わなきゃよかった。
こんなまったり感。
対談者とテーマの一部をご紹介。
「長生きしたけりゃ恥を知れ」老人福祉係との対話
「ひとりで生きろ」エコロジストとの対話
「性がすべてか」フェミニスト、悪妻クサンチッペとの対話
「流行らすことは偉いのか」マルチプランナー、トレンドクリエイター、コピーライターとの対話
「性教育がしたくって」性を語ろう女たちの会代表、クサンチッペとの対話
「死後にも差別があるなら救いだ」イエス、釈迦との対話
「生きているのは君なのか」脳死臨調委員との対話
ソクラテスの悪妻クサンチッペさん、なかなかのご発言です。
いやー。哲学って、深い。
人間が生きることを複雑に意味づけるのが哲学というイメージもあるけれど、実にシンプルに謙虚に人生を見つめるのが基本姿勢なんだね。