盗賊

盗賊 (新潮文庫)

盗賊 (新潮文庫)

あまりにも繊細で、読んでいると発狂しそうになる。
刺激や新しいものをものすごいスピードで求め続ける現代で、同じ感覚って、まだどこかに生きているのかな。



無意識の行動さえも緻密に観察し続ける緊張感は、「死」という目的地があるから。
「死」のために生きるとなると、生きるためのごまかしや妥協が不要になる。
外界は単なる舞台装置のような存在価値になって・・・ますます現世に対する違和感が死にいざなう。



心中なんて、昔の人がやることで、気持ちはイマイチ分からないと思っていたけど、なるほどこういうことか。
究極の美意識。



自分のことを振り返ると、グチャグチャごちゃごちゃと悩み、混在していて、そのくせ、なんとか前に進めば、先にもっとなにかあるのではないかと欲がある。
まだまだ自分の内なる精神世界に落ち着いて終着もできず、外界を生きていくんだろなと思うと、この二人がちょっぴりうらやましい気も。