負け犬の遠吠え

負け犬の遠吠え (講談社文庫)

負け犬の遠吠え (講談社文庫)

「負け犬」とは、狭義では、


・未婚
・子どもなし
・30代以上



という条件を満たす女性をさす。

「離婚して今は独身」もはいる。
広義では、20代だけど、負け犬体質という人もはいり、結婚経験のないシングルマザーも含まれる。
美人で仕事をバリバリやっていても、結婚していなければ負け犬。
自由は何にも替えがたいわ〜と奔放に生き、一人でも全然平気!と言っている女性も負け犬。
逆にいえば、どんなに不幸だと思っていても、上の条件にあてはまらず「家庭」を築いている人は勝ち犬なのだ。



「勝ち」だの「負け」だので人生を評価するなんてナンセンスというのが一般常識でしょうけれど、この本は「口には出さないけれど、心の中ではみんな勝ち負けをつけたがっている」ことを見逃さない。
自分が勝っていると思いたいから、自分より負けている人を探したがる。
本人は無意識で、時には良心さえともなった言葉で、暗に「あなたは負けている」と宣告している。
「勝っている」シアワセな人は、残酷なのだ。
私自身、この3条件を備えている知り合いに会う時に、少し気を遣っている自分に気づく。子どもの話ばかりしないように、みたいに。
結婚していない女性なんて珍しくもないので、私はこの人に勝っているなんて思ったことはないけれど、この気遣いこそが残酷なものなのかもしれない。



自分自身が負け犬である著者が、もう執拗なまでに、負け犬の特徴を挙げ連ね、勝ち犬と対照させている。
素足の指先がまっすぐ伸びているのは、勝ち犬。
負け犬は、ずっと仕事してるから、パンプスをはき続け過ぎて、足の先が変形しているというところまで観察。
重篤な病を抱えてもがんばって生きている人を見れば、命の尊さを理解するのに、自分が明日死んでしまったとしても問題ないような気がしてしまうという共通点にも気づく。





私は、この本のカテゴリーでは勝ち犬にはいるのかもしれないけど・・・
歳を重ねて、だんだん松の美しさに気づくようになったりもしないけど・・・




負け犬根性ストライク!!!



もう脱力。



負け犬は、「悲劇のヒロイン」になるのが好きじゃないから、「私はだいじょうぶ」って言う。(しかも実際、なんとかやっていくんだけど)
ヒロインをうまく演じることもできない不器用さもあったりするんだよ。
世間慣れして図太い感じがするかもしれないけど、結構純粋なところもあるんだよ。





と、負け犬根性の私が負け犬をかばってみたりする。
「負け犬にならないための10カ条」も記載されているので読んでみる。





あ、手遅れだ。





でも、だいじょうぶ!
「負け犬になってしまってからの十カ条」もある。
あぁ、これは結構いけてるかも♪
で、でも、今週中にも破っちゃう項目があるぞ。




負け犬、負け犬と洗脳されそうにまで書いてるけど、でも、あんまり悲壮感はないんだよ。
あくまでも負け犬の生態記録という緻密な観察だから、勝ち犬に気を遣いつつ、でも負け犬を卑下してるとも思えない。
「よし、負け犬なら、さっさとお腹みせちゃえ〜」みたいなさらけ出し感が救ってくれるというか。
なんか、負け犬もいいかもと思ってしまいそうになる。←負け犬根性の特徴らしい