女房はドーベルマン

女房はドーベルマン

女房はドーベルマン

野球人である野村克也さんの著書。
「女房」とは、もちろんサッチーこと沙知代夫人のことだ。
あまりゴシップ記事には興味がないのだけれど、野球人生における奥さんをテーマに本を書く人が他にいるかしら?
夫人の豪傑ぶりばかりが先行しているイメージだけど、そうか、やっぱりドーベルマンなのか・・・とつい、手にとってしまった本だ。




でも、この「ドーベルマン」には、この対照的な二人の関係を象徴する意味も含まれていたみたいだよ。
それは、本の一番最後で分かります。





野村さんは、サッチーと知り合った頃、別の女性と結婚していて、当時のことを本の中で弁明したりするくだりでは、なんだかつまらん本に手を出したと、正直なところ思ってしまった。
サッチーの逮捕や学歴詐称・・・野村さんの野球に輪をかけて、マスコミをにぎわせたご夫婦。
野村さんが自称するには、「気が小さい」「マイナス思考」「細かいことにこだわる」「暗い」「浪費癖」とのことだが、一方夫人を称するに自分と真反対なのだそう。
でも、どん底に落ちた時にも、夫人の「なんとかなるわよ」という涼しい言葉に救われてきたらしい。
野村さんが野球で活躍する事を誰よりも望み、喜んだのが夫人で、家庭ではお料理もするし、夫が野球に専念できるようにかなり気遣いもできる女性なのだそうだ。
でも、「野村が成功したのは、私(妻)のおかげって、絶対思っとる。憎たらしい。」という文章には、フォントが赤色・太字になったかのような怒りも伝わってくる。(笑)
気に入っていると確信して選んだ誕生日プレゼントを「趣味が悪い」と、店に返品されたりするしねぇ・・・欠点も赤裸々に書いてしまっている。
現役・監督を退いた後で、講演の仕事や評論家・解説者をこなすようになった時は、サッチーはマネージャー役で、年間300本の講演をスケジュールに詰め込まれ、「俺を殺す気か?」と思ったそうだ。




「キャッチャーをやるのは球場だけにしたい。家庭では、関白亭主でいたい。」





というのが、野村さんの夢だったそうだ。
その夢は、息子さんが誕生した頃から崩れ始める。
そして、家庭でもキャッチャー役になった。
ピッチャーは常に、サッチーである。





人に「よくあんな奥さんで我慢できるね」と言われると、「我慢してるんじゃない。





慣れたんだ。」




と答えるそうだ。
でも、人を傷つけることも言ってしまうというのは、人間関係で摩擦も多くて、実際御本人も大変だろなと思うけど、歯に衣着せぬ率直な意見をぶつけてくる人という点で、野村さんにとって奥さんは、裏のない安心できる楽な相手であることは間違いないみたい。





夫人が逮捕された時は、「彼女を守れるのは、自分たちしかいない」と息子さん(克則選手)と確信したらしい。
全然離婚しようと思わなかったんだって。
「自分から野球をマイナスしたら、ゼロだ」と言い切る野村さんが、野球人生とサッチーを語ります。