歌舞伎やじ馬ばなし

歌舞伎やじ馬ばなし

歌舞伎やじ馬ばなし

歌舞伎の基礎知識を超えて、雑学分野までいってる。
歌舞伎が、日本の文化にとても深くて広い根を張っていることが分かるよ。




例えば、 「陰で糸をひく」という言葉。
これは、歌舞伎での仕掛け物で、観客に分からないように舞台の陰から巧みに糸を操作して、小道具(骸骨のバラバラになった骨など)が宙を勝手に動いていく様を表現する手法からきた言葉なのだそうだ。
歌舞伎から発した言葉が、現代で日常的に使われているものはたくさんあるみたい。





それから、廻り舞台
舞台を半円形に仕切って、半面ずつで違う場面になっている。
ぐるりとまわすことで、場面が転換するんだね。
今では珍しくもないけど、これを実際に舞台の上で使ったのは世界で日本が最初なのだそうだ。
ある日、そば屋の出前が迷ってこの廻り舞台に乗ってしまい、客席に現れてしまったというのは国立劇場で本当にあった話だとか。





歌舞伎には役者以外にも、細かい作業において、それぞれのエキスパートがいる。
ちょっとバイトでできるような仕事はないのだ。
拍子木の杵を叩く役もそう。
勘亭流の文字を書く人もそう。
緞帳(どんちょう)は、西陣織りの豪華絢爛なもので、重さが1.3トンもある。
これをひくのは、素人にはできない。(著者が実際にやってみたが、途中でギブアップ)
ちゃんとこの作業一筋の人がいるのだ。





緞帳は、日本画の精緻な模写なので作るにも4ヶ月かかる。
一張りのお値段は、5千万円と高価にもかかわらず、スポンサーには事欠かず、数年先まで予約でいっぱいだとか。
歌舞伎座100年記念の時は、永谷園から「富貴花苑」、清水建設から「朝陽富士」、カネボウから「桜花」が贈られたそうだ。
企業のステイタスになるんだね。
通常、織物は60年ももつのに、この緞帳は5〜8年で入れ替え処分されてしまうとか。



「へええ」が詰ってます。