名前がいっぱい
- 作者: 清水義範
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/02
- メディア: 単行本
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表紙にまず目がとまってしまってね。
妙な名刺がいっぱい。
例えば、
「作家」(まだ無名です)
とか
とかね。
名前に関するいろんなエピソードや常識。
日常的なものでは、生まれた赤ちゃんの名づけの苦労やあだ名の誰もが経験したことがありそうな思い出。
人生最後につける「戒名」。
これは、かなりの高額を払って、お坊さんにつけてもらうのだけれど、立派な戒名は値段も高い。
たまたま身内で勝手に立派な(しかもデタラメな)戒名をつけてしまったら、以後はそれに見合った立派な戒名をつけてもらうお金が払えないということで、とうとうずっと身内でデタラメ戒名をつけることが伝統になってしまった家系。
「匿名希望」に隠れている意識というのもある。
新聞の投稿欄には、
「追いかけるのはとどまった・54歳」さん
「あなたの口も治したい・31歳」さん
「実態は6人組の組長・38歳」さん
なんていう方々が並ぶ。
学名と和名の話しはおもしろかった。
かの有名なシーボルトが日本の生き物を世界に紹介していたそうなのだけど、シーボルトが土地の人に「あの魚はなんというのですか?」とハヤを指して聞いたら、「あんなのは雑魚(ざこ)だよ」という返事をもらってしまったそうだ。
そのため、通常の呼び名を属名に入れる方法を使ったシーボルトによってつけられたハヤの属名は「ザッコ」。
学名や属名には、日本を象徴するイメージの言葉を入れてしまうこともあるらしい。
クジャクタテハという蝶の日本産の亜種の学名は、
ニンファリス・イオ・ゲイシャ
ニンファス=妖精の名前
イオ=女神の名前
ゲイシャ=芸者
ちょっと待て、という感じである。
同じ人でも、場面や所属する組織、役職によって呼び名が違っていて、結果的に名前がたくさんあることになっている。
インターネットの世界では、自分で自分に名前をつけて呼んでもらったりもしますね。
IDネームしか知らないと、本名を知ってもピンとこなかったりしてね。