パンツの面目ふんどしの沽券

著者は、国際会議でロシア語通訳も勤め、エリツィン大統領来日では随行通訳もしたロシア通。
ソビエトに住んでいた少女時代の思い出をきっかけに、その後ずっとひっかかっていた謎に挑む!?
ふざけたタイトルに見えるけど、本気である。



十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。
なんとなくタブーというか、知りたくてもどこにも書いてない下着文化。
というか、下着なんかつけてない時代は最近まであった。
では、どうしていたのか?




聖書に出てくるアダムとイヴが、裸でいることを恥ずかしいと思い身につけたいちじくの葉に遡って言及。
イラストなどでは、よく葉を一枚つけたものを見かけるけれど、様々な文献を調査すると、「数枚の葉を使って腰に巻きつけた」が正しいという見解が浮上。


地域によっても、恐ろしく違うみたい。
少女時代のソビエトで著者は、同級生がサッサとパンツの型紙をとって縫い上げてしまった事に驚く。
洋裁をしたことがない方には分からないかもしれないけれど、パンツって、縫うのは結構難しいと思う。多分、ズボンより難しい。
それを当たり前のように縫い上げたと。
それは、旧ソビエトでは市販のパンツなんてなかったことに起因するらしい。
ソビエトのご夫人が、西欧製のレース付下着をもらった時に下着と思わずにそれを着て、人前に出てしまったというエピソードも。
そういえば、先日行った「不平不満の合唱」のロシア歌詞に「もう気に入った下着は売られてない」というのがあったことを思い出した。
まさか、現在も市販のパンツがないとは思えないけど、下着文化は根強くて、そう簡単には変わらないみたい。



ロシアの話ばかりで、ロシアに失礼かもしれないけれど、あんなに寒いところにいながら下着をつける習慣がなかった。
その代わり、服としてのシャツの裾が長くなっていて、太股部分まで覆うようになっていたとか。
ちょっと不潔な話もでてくるのだけど、その「不潔」と感じるのも文化によるところが大きい。それについても触れる。


そして、女性の中には多分、疑問をもった人も多いのではないかと思うのだけど、昔のサニタリーグッズの話が詳細に出てくる。
もう、びっくり。
作家の井上ひさしさんの母上は、自分が考案した「マス子バンド」で大儲けだし。


なぜ「アンネ」という言葉が、商品名やサニタリーグッズに関する代名詞として使われるようになったかも分かった。
アンネの日記」がそういう記述を含んでいたなんて。



たしかに「下ネタ」だけど、おもしろくて真面目な本だよ。