あすなろ物語

あすなろ物語 (新潮文庫)

あすなろ物語 (新潮文庫)

中学校とか高校の試験問題に出てくるんだよね、この本からの引用が。
だから、なんだか本を読んだことあるような気がしちゃうけれど、そういえば結末知らないよ?



ということで読んでみたら、ただ泣かせるのが目的の恋愛小説よりもずっとずっとじーんときた。
「明日はきっと檜になろう」と思い続けるけれど、檜にはなれない「翌檜」(あすなろ)。
「○○さんは、檜になったのね」とあこがれの女性が言うそばで、主人公は自分が翌檜であることを確信している。




お坊ちゃまな中学生時代。
優等生な高校時代。
その後、それまで持っていた訳の分からないやる気や闘志が萎えて、だんだん転げ落ちていく。
恋心で決めてしまう地方大学への入学。
温め続け、行動の原動力となったその気持ちが突然、まぼろしだったとようにふいっと消えてしまう瞬間。
仕事のライバル。



国語の試験問題なんて、コツさえ分かれば、文章を本当に理解しなくても味わっていなくても解けてしまう。
でも、この物語を読んで、イラつくような感情が湧いたり、けだるい共感を持てるようになるのは、大人になってからじゃないだろか。
子どもだった私たちに、あの頃の大人たちは、こういうことを理解させようとして読ませていたのかしら?





そんなの無理だけど。




といいつつ、私が古典文学?に興味を持ち始めたのは、中2で読んだヘッセの「車輪の下」だったりして。気持ちが重くなったなー、あの本で。
ショックに近い感じだった。



学生時代に「読まされた」文章を、今、もう一度読んでみるとおもしろいね。