冥途の旅はなぜ四十九日なのか〜数学者が読み解く仏教世界〜

冥途の旅はなぜ四十九日なのか (青春新書INTELLIGENCE)

冥途の旅はなぜ四十九日なのか (青春新書INTELLIGENCE)

お盆ですしね。




さて、道に並ぶお地蔵さんは、大抵6体だ。
それは、六道からきているから。


また、除夜の鐘は百八回つくことになっており、これは人間の煩悩の数とされる。
でもね、ただ単に心を煩わす百八の原因を列挙しているわけではないらしい。

まず最初に「六根」がある。
これは、6つの感覚器官である眼・耳・鼻・舌・身・意を示す。
そして、この器官それぞれが「三不同」つまり「好・平・悪」という三通りの感じ方をする。
そして、そして、この感じ方には「染と浄」の二つの程度がある。
そして、そして、そして、これらが「現在・過去・未来」の「三世」にわたって、人を悩ませるのだと。



では、計算いきます。

6(六根)×3(三不同)×2(二つの程度)×3(三世)


=108




タイトルの四十九日の説明もとてもおもしろい。
ここでは内容を伏せておくけれども、閻魔さまが登場するのね。
閻魔様は、恐ろしいキャラとして有名だけど、最初はあまりにやさしくて三途の川を渡ってきた人を裁くのに甘すぎてしまうものだから、わざと今の要職に就かされてしまったとのこと。
柔和なお顔の閻魔様の像が、奈良西大寺にあるそうな。
見てみたいね。


室町時代後期の能「羽衣」で「二二」と書いて「し」と読ませたり、万葉集で「十六」と書いて「しし」と読ませてあったりと、かなり昔から、九九が一般の民にも浸透していたことが分かる。
また仏教の教えにも唱える言葉にも、掛け算はかなり登場するらしい。
特に2の乗数が好きみたい。
もう、2乗には精神的安堵まで感じちゃうらしい。
あの安心の象徴のような正方形を思い浮かべちゃうし、縁起が良いとされる奇数ばかりを足してできるから、なんだかハッピー感満載だし。





2乗の数って、世界の根源につながっているのでは!!??





と昔の人が考えたとしても不思議ではないと著者は言っている。



その証拠?に、仏教の世界は2乗のオンパレードだ。
四天王
九品仏(地名にもありますね)
十六羅漢
二十五菩薩
不動明王三十六童子
四十九日
六十四転大劫
一会金剛会八十一尊曼荼羅
お釈迦様の入滅の歳・・・



だから、平方根もぱっちり把握。
計算機なんかいらない。
奇数を足していけば、自然数の2乗になる。
それも自然数を1つも飛ばすことなく表せる。

1=の2乗
1+3=4=の2乗
1+3+5=9=の2乗
1+3+5+7=16=の2乗
1+3+5+7+9=25=の2乗
1+3+5+7+9+11=36=の2乗
1+3+5+7+9+11+13=49=の2乗




生活の中で、数学を見つめると、こんなことに気付いちゃうんだね。
そして、それをまた生活に活用することで新しい法則に気付くと。


この2乗好きは、仏教だけじゃなくて、世界中の古代文明にもはびこっていたらしい。



そういえば、昔のお寺は、最新の学問を学ぶところだったということで、お坊さんは、お経ばかりを唱えてはいられなかったそうだ。
こんな学問もお勉強。
現代の大学をいくつも掛け持ちしているくらいの勢いだ。


・声明(しょうみょう):文法、文学
・工巧明(くぎょうみょう):工学、技術、暦法
・医方明(いほうみょう):医学
・因明(いんみょう):論理学
・内明(ないみょう):哲学、教養学



関東大震災を体験した人が驚いたことがあった。
それは、多くの建物が損壊した中で、平然と立っていた建造物があったからだ。




浅草寺五重塔




なんと五重塔の心柱は、宙に浮いている構造になっていて、それぞれの階の揺れが相殺しあうようなしくみになっているので耐震性に優れているとか。
計算機もコンピュータもない時代に、どうやって揺れを吸収するしくみや上部の重みに下部が押しつぶされない建て方を知ったのか。
また、精密機器もないのに、その建て方をちゃんと実際の建築に反映させ、完成させることができたのか。(時には、建築途中で崩れた建物もあったらしいけど)現代では、昔の大工の知識と技術を現代のコンピュータによって計算し、建築に応用しているそうだ。



それから大工さんは、ルート計算や黄金比を求める計算が自然にできちゃう三角定規(曲尺)を持っていたのだそうだ。
微分積分もこれ1個。←ちょっと大げさ




生活における必要性から、高度な数学を日常的に使っていたんだね。
お坊さんが教えてくれた可能性も高いね。

でも、どうしてそんなにがんばって、高いお寺を作る必要があったのかというと、お寺に来ることができない人のために、遠くからでも拝めるようにしたかったからというのが理由らしい。
いい話だなあ。


陰陽の世界では、奇数が良い数字とされている。
だから、奇数が連なる日は節句とされている。
1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日。
十進法が基本なので、11月11日は節句にされなかった。
そして、良い数字同士が重なるのだから、お祝いの日かと思ったら、そうではないらしい。
善+善=悪となりかねないので、どちらかというと厄除けの日だったとか。
桃の節句の桃も魔よけ。
3月3日に生まれた三つ子の女児が亡くなってしまったため、始まった行事だという説があるようだ。



薄い本なのに、盛りだくさん。






お盆ですしね。




先日行った居酒屋「遊麗」。

お化け屋敷が店になったような感じ。
お店のスタッフは、白装束を着ているし(おでこの三角も)、乾杯の時には「なむー」って言わなきゃいけないし、注文するときは、テーブルに置いてある手首を差し出して仏壇の「ちーん」をしなくてはならない。
メニューももちろんそんなネーミングもものばかり。
フツーに梅酒(レモン)(シークワーサー)
イチョウ)とあっても、
「胃腸っ!!!!」と思ってしまうほどの徹底した雰囲気作りである。
おふざけが過ぎてる感じで、ヤな気分になってしまう人もいるかと思うので、注意です。




割引クーポンに汚職事件」 (=お食事券)とあったのには、不覚にも笑ってしまった。
クーポンを出したら、香典袋に割引分のお金を入れて、渡してくれた。





へんな店でご愁傷様でした。
お化け屋敷好きとダジャレ好きは、是非どうぞ。

「居酒屋 遊麗」