出身地でわかる三国志の法則
- 作者: 黄巾イレギュラーズ
- 出版社/メーカー: 光栄
- 発売日: 1995/01
- メディア: 単行本
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三国志版「州郡ショー」みたいな本。
編者である黄巾イレギュラーズは、呂布伝を読んでいた時に、「同郷」という言葉が散りばめられていることに気付く。
また、三国志を読んでいると、伝の始まりのほとんどが「姓名・字(あざな)・出身地・家系の順になっているではないか・・・と。
「諸葛亮、字は孔明。瑯邪陽都の人なり。漢の司隷校尉・諸葛豊の後なり」
みたいにね。
中国の人にとっては、家柄よりも出身地の方が大事だったのではないか?
出身地の違いが歴史に影響を及ぼしているかもしれない。
そんな観点で、三国志に登場する人物達を出身地別に分類してみると、意外な発見が。
劉備が起用した部下たちは、ほとんど同じ州の出身者だった。
呉が建国された時の幹部たちも徐州の人ばかり・・・などなど。
この本は、出身地の観点で三国志を読み直すという試みなのだ。
州の特色の記述が楽しい。
★涼州・・・中華思想に文句をつける人々
・氾濫と保身のノウハウを身につけている
・州をあげて卓をバックアップする
・トリッキーな作戦が得意
・目標がなくなると内輪もめを始める
★益州・・・蜀を支えきれない三流の人々
・独立政権を建てやすい地勢
・よそ者に支配されるのが好き
・天下を争う気は全くない
といった感じ。
その州の人が聞いたら、怒りそうだし、反論もあろう。
アニメ風の挿絵は楽しさを増幅させるけど、内容は決して「ちゃかし」ではないよ。
まるで、自分の親戚の話でもするかのような、歴史的要人たちについての詳細な記述が、各州の地理も含めた特色と照らし合わせて、楽しめる。
ウルトラ辺鄙な郡の者に「同じ辺鄙仲間だもんな♪」と言われて、やや辺鄙な郡の人がムッとしている様子とかね。
各州の名物人たちを列挙し、一言紹介もしている。
例えば、幽州の張飛。
「字は、益徳。関羽と並ぶ劉備の片腕。入蜀の際、厳顔を許し名を上げる。のち部下に背かれ横死。」