「告白 源氏物語」と岡山城

告白 源氏物語

告白 源氏物語

源氏物語」は、光源氏が落ちた、あちこちの姫君との恋物語となっているけど、この本では、そのお相手の姫君たちの本音が書かれている。
千年の時を経て、今だから聞ける54人の女たちの告白。
かくも恐ろしく、切ない想いなのだ。
恋の対象となった姫君だけでなく、仕えた女房や、恋に溺れる父や母を見る娘やら・・・色々登場する。





源氏なんて、ちんぴらだ。
そんな手には乗らないよ!





こうなるとまるで、下品な女性誌につかまったただのプレイボーイ。
藤壺への想いなんて、言い訳にもならないらしい。






そして、薫の君に匂宮。
源氏の血をひくからには、異性関係にだらしないに違いないと言われ。
(否定できない事実もあり)






それにしても、人を想う気持ちにどれ1つとして、同じものはない。
そこには、平安時代の貴族男性の在り方。
どんなに浮気をされても、嫉妬を表に出さず、かわいく待ち続けることを求められた女性の確執が浮き彫りになっている。
だけど、男性次第で人生を翻弄されているかのように見える女性たちの秘めたる強さとしたたかさには、実は逆に、光源氏を踏みつけて成長していく様さえ感じるほどだ。
諦めと割り切りの上に、なんとかしてささやかな幸せを築こうとする生への執着。





朱雀帝への入内が決まってからも、光源氏をどこまでも追っていきたいと苦しむ朧月夜。
激しい嫉妬心のため、生きているまま「生霊」となって、光源氏が想う姫君を殺してしまう六条御息所の悶え。
追いかけても源氏を手に入れることは叶わないと知る花散里は、恋ではなく、源氏を癒すことで誰よりも永遠に結ばれることを選ぶ。
一人寝を慰めるお相手をすることになった女房は、その記憶だけで何十年も生きていく。





一番怖かったのは、夕顔だなぁ。
六条御息所の生霊に殺されてしまうのだけど、



「え?私、シアワセですけど、なにか?」




と、短い人生をスパーンと割り切った考え方。(というか、そういう生き方しか知らないというとこが更に怖い)




おもしろ怖くて、切ない。
痛快な1冊。







今回の帰省は、復路が新幹線。
途中下車の旅は、岡山。

これが桃太郎。




うそ。これは、隣にある像。
こっちが桃太郎。




烏城(うじょう)は、武士が鎧兜を身につけている姿に見える。

真っ黒で、この強烈な日差しの下で虫眼鏡を当てたら、一気に燃え上がりそうな風情である。





鎧の中に入ってみる。
立派なお城だけど、意外と中は狭くて、心細くなかったのかなと思いをめぐらせる。
多くの部下、領土をここを司令塔に守ること。
宇喜多氏は、どうやって自分の士気をあげたんだろう。



お殿様の駕篭。
乗ってたら、酔いそうな気がする。車酔いならぬ駕篭酔い。



お殿様の気持ちに寄り添ってみる旅。