ダンボールハウス

ダンボールハウス

ダンボールハウス

ダンボールハウス」とは、俗にいうホームレスの人たちの住まいのこと。
住まいがあるんだから、正確にはホームレスではないのかな。
ダンボールハウスというけれど、実際にダンボールだけで造られているものは少数で、角材・ベニヤ板・ブルーシート以外にも色々で、工事現場など建築素材のある場所に人脈があるとGOOD。
バッテリーを備え、用途別に部屋を分け、技術や知恵は、仲間のなかで伝授されていきます。
ビルやマンションが林立し、どんな土地にも所有者や責任者がちゃんといる都会の中で、動産と不動産の間のような空間がそこに。



中部大の建築科学生が卒論のテーマに選んだ調査レポート。
内容の緻密さとおもしろさにより建築専門誌「10+1」などにとりあげられたりもしたとのこと。
単に外観を論ずるだけでなく、内部からせまったのが特徴だよね。
まずは、住人とのコミュニケーションをとって、一緒にお酒を飲んだり、ごちそうしてもらったりしながら始めたという点で、本当に内側からダンボールハウスをウォッチング。
そんなことをしてる間にハウスの住人にカノジョをとられてしまうという顛末や、著者に(ハウスの住人でなく)頭ジラミの疑いがあった時には、住人たちに出入り禁止にされたエピソードなどもあり、単なる卒論作業ではなくなってしまった模様。



ダンボールハウスを形態で種類分け。

・小屋型
・テント型
・複合型
・ツー・バイ・フォー
・豪邸:施工費5〜10万円

などなど。

簡単な作りのハウスの住人にもいろんな考えの人がいるようです。
しっかりしたものを作ってしまったら、この生活から抜け出せなくなるような気がするから作らないという人。
一方では、早くお金を貯めて、もっと立派なダンボールハウスを作りたいという意欲満々な人。



居住者のタイプでも分類を試みる。

「仙人」、「DIY魂」、「職人」、「自然体」(建物の外郭どころか入口も不明)・・・


住環境別では、 「暴風域」など。
これは、地下鉄の排気口付近に造ってしまったハウスのこと。
なんともいえない温度とにおいの風がはいってくる。
でも、洗濯物がよく乾く。
どこでも移動可のハウスのようでいて、意外と環境に順応しようとしているらしいです。
ダンボールハウス居住者同士の賃貸システムや別宅(ペット用・荷物用倉庫など)もあるそうな。



都会では、住む家まで既製品に近いでしょ。
家(マンションも)に自分たちの生活を合わせなくちゃいけないことも多いです。
まだ完成もしていないマンションをモデルルームだけ見て、買わなくちゃいけないなんていうのもありますね。
ダンボールハウスは、究極の自分デザイン。




「蒸し暑いな」と思ったら、そこに窓を作るんです。




とても愉快な本です。