私が愛した官僚たち

私が愛した官僚たち

私が愛した官僚たち

あ。
なんとなく頭の中で、役人と政治家がごちゃまぜになって、境界が見えなくなっている自分に気づいてしまった。
そして、その理由もこの本で納得。

出版が今年2月なので、比較的新しい本です。
若き官僚たちが実名で登場し、どんな想いで役人になり、どうして政治家として転身していったかが主に書かれています。
著者はライターとして、官僚たちに関わるのだけど、面会やインタビューの中に、官僚たちの生態を見ます。
表情・しぐさ・態度、そしてオフレコ的な内なる声。
あちこちにちりばめられた官僚たちのスナップショットが、その声の主です。



勉強は、しなくてもできて当たり前、スポーツもできる。
芸術にも造詣が深い。
マナーや人付き合いもこなす。
むちゃくちゃ向学心がある。
そんな特殊集団。


そうそう。
ほとんどが東大法学部出身のキャリアたちに、自殺が多いのはなぜかにも言及しています。




海外では、役人←→政治家←→ビジネスマン←→役人と、わりと行き来自由なのだそうですが、日本では、役人→政治家、役人→ビジネスマンという一方通行がほとんどなんですね。
最初から、政治家になるための土台作りのために役人になる人もいる。
国のお金で留学した役人の卵たちは、日本の役所に限界を見て、さっさと政界へ飛び込んだりする。
そんな事実もあるようです。



雲上の人たちの入省前後の経歴が、淡々と描かれていて、役所のなりたちが分かります。
役人は、「AERA」「2ちゃんねる」で叩かれるようになると、役所で名をあげた証拠になるんだって。


タイトルの「私が愛した」の意味は、エピローグで初めて明かされます。