いつか来た道


自転車をこいでいたら、帽子が飛んでしまい、振り向くとそれは、交通量の多い三鷹通りのど真ん中に。



うーん。どうしよう。
安物だし、ずいぶんくたびれちゃってるし、諦めようか・・・
いやいや、物を粗末にしてはいけないし、大体ゴミになっちゃうし・・・



と、そこへ。
白馬にまたがった王子様ではなく、サンダルはいた年配の男性が。
スタスタスタスタスタと車の通りの合間をみて、帽子を取ってきてくださった。
「車に踏まれちゃったね。」

お礼をしっかり言う間もなく、行ってしまった。




ありがとう!!!
お  じさま!!!!!




しかし、私の運のツキもここまで。




♪ この道はいつか来た道. ああ そうだよ〜
  (作詞 北原白秋、 作曲 山田耕筰




そうだ、この道は通った。
しかも、なんでキミがまた一緒にいる?




娘1号を広島行きの夜行バスに乗せるため、待ち合わせしたのだけど、あまり余裕がない。新宿へ急ぐ。
そして、そして、そんな時。
中央線は。




故障でとまった。




車中から、バス会社や運転士さんとやりとりするもアウト。
バスは行ってしまった。
JRに対応を求めてみたけど、やっぱりだめだ。
相手がバスじゃだめなんだって。




大きな荷物を抱えた娘1号と同じ道を戻る。
しかも、自宅〜駅間をバスで来た彼女の乗るべきバスは終わっている。
2人でてくてくてくてく・・・・家に戻る。



♪いつか来たみち〜




というか、




♪さっき来たみち〜





しょげたけど、気持ちを切り換えよう。
広島には、孫を待ってる母がいる。
旅を中止することも考えたけど、悲しいできごとだけでendingはヤだしね。
睡眠時間2時間を経て4時に起き、始発ののぞみ1号に乗せた。




あいたたたたた。 ←お財布の声




そして、また、今度こそ私ひとりで、




♪さっき来たみち〜



7時に朝帰りした私はベッドに滑り込んだ。



あまりの展開にコーフンしてるのか、眠れない。
先日、いつもは多忙な知人と一緒にご飯を食べた時の事を思い出した。
仲間といる時は、聞き役が多いその人が話し役だった。
でも、私も聞き役ではなかった。
会話というより対話・対談だったのかも。
悪役ばかりしている人が正義を語るような、コメディアンが悲恋について語るような、意外なところに転調が展開されているメロディーのような、スポットライトの色が急に変わったような・・・・
また、いつかおもしろい?話が聞けそうで楽しみだ。


ご飯を食べ終えた時、その人の顔が少し違って見えたっけ。



今の私には、誰かと争ってでも欲しいものなんて、なんにもない。
だけど、こうやって人と関わって受ける刺激は、宝物。
こういう宝物が増えると、また少し誰かと関わる勇気が気泡のようにポコッと生まれるんだよ。





ああ、そろそろ眠りに落ちそうだ・・・