三島由紀夫レター教室

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

世の中にビジネス文書のマニュアル本はたくさんあるけれど、これは超!私的文書のお手本として書かれた本。
・・・・真似するべきかどうかの判断は読者が判断した方がよいと思います。

まだ、メールもなかった時代における、遠くにいる相手への単なる連絡手段ではないのです。
会える相手に対してでも、自分の気持ちを切り取って封筒に入れて送り、理解を求めるような、そんな手紙の書き方。
時にハガキ。
時に電報。
愛情や怒りや侮蔑や陰謀。



筆跡から伝わる書き手の像を思い浮かべる受け取り手。
また、したためる時間の書き手の気持ち。
そんな手紙の良さが、電子メールが浸透しつつある時期に「手紙派」の意見としてあちこちで見られたりもしましたね。

私も手紙を書くことは、とんとなくなってしまいましたが、毎年敬老の日とお誕生日に贈り物をさせていただいているおばあちゃんは、いつもお礼のお手紙を送ってきてくれます。
随分高齢なので、手紙を書くこと自体難儀だと思うのですが、やさしい言葉が連なっている手紙はありがたいですね。
そして、以前はかなりの達筆であった面影が文字に表れているので、おばあちゃんの齢に思いをはせたりもします。


この本に出てくる手紙は、登場人物たちのやりとりという形式で、どちらかというと私利私欲や傲慢さあふれるものです。
手紙という「形式」とか「枠組み」に私情をはめこんで送ると、こうなる!?