上野千鶴子が文学を社会学する

著者によると、文学者が文学を社会学の視点で分析することは「二流」と受け取られるのだそうだ。
逆もしかり。
文学と社会学がちょっと離れたところにいることに驚き。
読者からすれば、特に過去に書かれた文章の言葉に背景となる社会を透かして見るのは当たり前だと思っていたので。

著者はあえて、いろんな小説から、社会的テーマを読み解くことを試みる。
テーマは、「老い」「おんな」「うた」「こころ」。
家父長制、日本の母、連合赤軍フェミニズム、ベッドの中の戦場、トラウマを旅する・・・といったサブテーマ。
取り上げられた小説は「恍惚の人」「黄落」「棘」などなど。