中国を変えた最強メディア微博(ウェイボー)の衝撃

中国を変えた最強メディア 微博(ウェイボー)の衝撃

中国を変えた最強メディア 微博(ウェイボー)の衝撃

年末に初版が発行されたばかりのこの本には、よく「中国版ツィッター」と言われる微博(ウェイボー)の実態レポートが書かれている。
実はツィッターとはちょっと違うらしく、mixiFacebookのような要素も兼ね備えているらしいよ。
ツィッターと同じ140字の投稿なのだけど、中国語の140字は英語や日本語よりずっと情報量が多い。
その存在が世界に広く知れ渡ったのは、2011年7月23日の中国、温州市郊外の列車の衝突事故。
ほら、事故調査もろくにしないで車両を現場に埋めてしまい、批判を浴びて、また掘り起こしたあの事故。
まさしく、「掘り起こし」の発端とも言えるのが、このSNS「微博(ウェイボー)」上での数百万人の非難だったとか。



事故に関する書きこみは、事故が起きる7分前からあったそうだ。
衝突の4分後には、事故発生の投稿。
10分後には、助けを求める投稿。
既存メディアは、微博を追いかけることしかできなかったらしい。
日本も含む他国だと、web上の情報はソースを確認するなど、本当かどうか確認するのが普通だけど、既存メディアが微博の情報を引用しながら報道したりも。





広東省で2歳の女の子が車にはねられたのに、事件後7分間に18人が知らんぷりをして通り過ぎるという監視カメラの映像もあった。
この映像を最初に流したのも微博。
道徳をめぐる凄まじい議論が飛び交ったそうだ。







世論誘導を行う官製メディアや当局の言論統制に慣れている国民は、既存メディアを信用しない。
そんな中国人が大事にしてきた情報源は「口コミ」だそうで、この体質が微博に見事に合ったのかも。






日本の元AV女優:蒼井そらさんも、この微博でのフォロワーがかなり多い一人。
あんなに統制が厳しい中国では、更にそれをくぐり抜ける術が長けていて、ファイヤーフォールも意外と簡単にクリアできるそうな。
なので、アダルトサイトも見ることができるわけで、蒼井そらさんもそれで人気が・・・という理由もあるようだけど、実際のフォロワーは女性が多いそうだ。
その理由。
また11万回も転送され、7万もコメントがつけられた、本人もびっくり・がっくりな話題とは。





企業がこのツールを放っておくわけがない。
ある個人アカウントから、雨の日に男性用避妊具を靴にかぶせたら、靴が全然、水に濡れなかったと画像付きで投稿したそうな。
これが大反響。
実は避妊具の企業が仕組んだことだった。
きわどいユーモアや苦情を逆に広告に利用するなど、知られざる中国がそこにある気がしたよ。





微博にもいくつか種類があるそうだ。
ツィッターは、中国庶民が「それ、何?」と言ってる間に当局に使用禁止にされてしまったらしいけど、それに代わりに中国ならではのSNSが登場したことになる。
当局の投稿チェック機能は、相変わらずすごいそうだけど、一方で、この勢いを止めることはできないし、むしろ利用する方が賢明だと政府も気付いてもいるみたい。
国に都合の悪い投稿が見つかって、数十分語には削除されたとしても、凄まじいリツートの速度には追いつけないしね。
現に官僚たちもアカウントを持っている。
官僚が微博を利用する際の「心得」があるのだけど、これがおもしろい。
「デートをする時は、微博に書きこまない」とかね。
国政への不満をSNSで発散してもらったほうが、大きな爆発を起こさなくて済むという計算もあるらしい。





著者の経歴もおもしろいよ。
「歌舞伎町案内人」。
バレエダンサー、記者、貿易会社社員などを経て、日本に留学した際、歌舞伎町に魅せられたと。
社会の表も裏も知り、その魅力も熟知している人なのかも。