人はなぜ花を愛でるのか
- 作者: 日高敏隆,白幡洋三郎
- 出版社/メーカー: 八坂書房
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 単行本
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虫や鳥などは、食につながる存在だから、花に近寄る。
でも、人間のように、「美しい」といって花見などしないよ。
ラスコーなどの洞窟壁画には動物は描かれていても、花は描かれていない。
ネアンデルタール人は死者にたくさんの花を添えて葬っていた痕跡が?
植物らしいものが描かれ始めているのは、6千年前くらいからだそうだ。
この本では、タイトルの問いかけに、美術、民俗学、環境学、語学などの専門家がそれぞれの私見を語る。
「flower」と「blossom」はどちらも「花」を示す英語だけれど、意味は草系の花と木の花という違いかと思ったら、間違いだった。
前者は、花弁やがくに囲まれた植物の「生殖器官」を指すのだそうだ。
だから、茎も含めて「flower」。
blossomは、果実や種になる花。
咲いた後、果実になる部分を指していると。
花が、実になるということで、花が生命力や男女の愛、性的魅力の象徴となっていくのはたしかに自然かも。
国によっても違うでしょうね。
四季のある日本では、開花期間の短い桜を寒い思いしてブルーシートの上で愛でる。
南国でハイビスカスを髪にさすのは、独身であるしるし。
花を贈る側と贈られる側にある一線が、もともとはあったという私見もおもしろい。
その線とは、「生と死」「民衆と仏」「残る者と旅立つ者」「健康な者と病む者」など。
芸者さんに払う料金を「花代」というのは、花に代わる金銭という意味合い。
芸人と客人という線を越えてのやりとりだという説明だ。
そんな「一線」を意識する歴史があるから、同等の者同士や恋人同士等の線を越えた間柄での花のやりとりが、日本で根付かなかったのではないかとのこと。
「花ことば」はすごいね。
どんな風に決められたのかな。
絵画では、花ことばを画家の秘められた想いや意味として描くことは多いよね。