海図の世界史

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地図というと陸地のものを思い浮かべるけれど、歴史を大きく変える役割を担ってきたのは


海図。




地球が丸いなんて、知らなかったのだから、海図の基盤は想像力だったり。
16世紀まで強い影響力を持ち続けたプトレマイオスの「世界図」には、世界地図の周囲に12人のウィンドヘッド(女神の頭部)が描かれており、頬をふくらませて、「ふうぅぅっっ」と吹いて風を起こしている。


海を行く力があったのは、ヨーロッパの国々。活発な地中海。
海図はヨーロッパが四苦八苦しながら作りあげてきた。
正確な地図を作ろうとする一方で、伝説の島を実在の島とごちゃまぜにしてしまい、不正確になったり。
15世紀に作られたゲルマヌスの世界図では、アフリカ大陸の先端が、東南アジアの黄金半島の巨大な架空の部分と向かい合っており、プトレマイオスの地図にあった「未知の南方大陸」は消されてしまっている。
ある部分を間違えると、大きな勘違いにつながってしまうんだね。



そして、皆が探し求める黄金の国「ジパング」。


太平洋横断を決行したマゼラン一行は、航海中に病気や栄養失調になったり、様々な困難を乗り越えている。
すごいな、マゼラン!





と思ったが、グアム島を見つけたら、40〜50軒あった原住民の家を焼き払って食料を調達。




おい、マゼラン!!





出発時に280名だった船員が3年の航海で18名に減ってしまったらしい。
しかし、持ち帰ったチョウジ、ニクズク、白檀などは、凄まじい高値で売れ、船団派遣のために支出された金額を上回ったとか。
命がけで冒険に出るわけだね。




そして、富国強兵には商業の活性化と航路の拡充が欠かせないと考えたフランスが、科学的な測量に抜きんでる。
1791年のフランスでの国民議会で、極点から赤道までの距離の1000万分の1を



1メートル




とすることを決定。




1675年にはいよいよ、イギリスにグリニッジ天文台ができた。
でも、まだ正確な経度は確定できていなかったそうな。
1707年には、経度が不正確だったために、イギリス海軍の艦隊4隻が遭難し、2000名が命を落としたらしいよ。
現代でそんな事故が起こったら、補償だの事故責任だの大変なことになるね。


とうとう、イギリス議会は、正確な経度の測定法を開発した個人または団体に賞金を出すという議決をする。
経度の誤差が1度以内なら1万ポンド。
航続時間の誤差が40分以内なら2万ポンド。
当時の2万ポンドって、現代の10億円に相当するんだって!

そりゃもう、学者も職人も必死。
2万ポンドを手に入れたのは、叩き上げで時計職人になったハリソン。
このハリソンの海洋時計のおかげで、ジェームズ・クックの航海は成功したのだそうだ。




海図には、歴史と野望が詰まってるんだね。