食べる落語
- 作者: 稲田和浩
- 出版社/メーカー: 教育評論社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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落語は時代の写し鏡。
食べ物も時代の写し鏡。
だから、食べ物噺の落語は、当時の庶民を如実に表す・・・とは限らないんだって!
落語は聴衆を笑わせることが目的だから、誇張や嘘があったっていいのだ。
当時は、嘘と分かっていて笑っている内容も、現代になって古典落語を聞くと、ほんとと嘘の見わけがつかなかったりするから、実際の庶民の生活だと思った描写が実は違っているかもしれませんよ。気をつけなさいよ。
・・・と、そんなことも書いてあったり。
食べる仕草は、落語家さんの芸の一つと言うしね。
なるほど、さもありなん。
いろはにほへと・・・の順番に食べ物が並んでいて、その食べ物が出てくる落語についての噺やエピソードが語られる。
「へ」なら、べちょたれ雑炊で、登場する落語は「七度狐」。
「ち」は、おなじみの「ちりとてちん」。
「よ」は羊羹で、落語は「小言幸兵衛」。
「た」は卵焼きと蒲鉾で、落語は「長屋の花見」。
といった具合。
かぼちゃの語源は「カンボジア」なんていう豆知識も散りばめられている。
おからのことを「絞りかす」とは言わず、「卯の花」や「雪花菜(きらず)」と粋な呼び方をする日本語のおもしろさにも触れる。
ちなみに、きらずは「切らず」からきている名前。包丁をいれなくても食べられるという意味だそうで。
「を」は、「折詰」の噺。
赤い顔の酔っぱらいが千鳥足で手に持ってるあの折詰にも言及する。
折詰が登場する落語「つるつる」は、昔のドリフターズかと思われるようなオチ。
現在のお笑いの元祖的なものを感じるなあ。
「鰻のたいこ」「王子の狐」などが紹介される。
「わ」は、「藁詰納豆」で、落語「納豆幽霊」が紹介されている。
これ、聞いてみたいな。
食べ物につられて、落語にそそられる本なのだな。