ライフ〜命をつなぐ物語〜

uiui2011-10-06



淡々としたナレーション(松本幸四郎松たか子)と同様に淡々と、「静かな爆発」的な命のシーンが連なる。
「命ってすばらしい」とか「自然って神秘的」という言葉は、ここでは陳腐に響く。
撮影期間3000日。
最新の器材はもちろん必要だけど、この映像を捉えるための人間の執念・エネルギーは、種を超えた生物の目線に佇むことを許してもらうための絶対条件。
すごいよ、BBC
デジタルによる作りもののではないかと疑ってしまうような映像。
影の撮り方、使い方が地球上のどこかの生命に、謙虚にドラマ性を添えるのみ。
人間は驚嘆し、愕然とするけれど、これは彼らの日常なんだね。

この映画を観ていると、今、一番マヌケなのは、




ポップコーンを抱えて、ぽかーんとしている私だ




と思う。


雄ライオンがシマウマを襲って、雌ライオンが食べるといった私たちが知っているシーンだけを想像していたら、あなたもきっと私と同じマヌケ顔でスクリーンの前で固まってしまう。
コモドオオトカゲが水牛を何週間もかけてしとめる方法には、背筋が凍る。
こんな食べられ方したら最悪だわ。



バンドウイルカが確実に、しかも簡単に魚を捕る方法。
「デフォルトが笑顔」みたいなほんわりムードの彼らだけれど、この捕食シーンを見たら、唖然とする。
水族館のイルカショーで投げてもらった魚を食べる行動なんて、実は人間に飼われる前からお手の物だったんだ。




イチゴヤドクガエルの、まさに体を張った子育て。
キミ、なんでカエルやってるんだ?とまで思ってしまうよ。





生き物好きでなくても、科学に興味がなくても、天文や歴史や経済や建築や・・全ての学問をする前に、こういった映像を観てはどうかしら。
人間を基準に「高等」「下等」と判断されている生き物たちが、どんなプログラムに従って生きているかを見ること。
人間の行いが、全て「人間」というプログラムに組み込まれたものであることを認識すること。
「夢」とか「やりがい」とか「がんばる」とか、それもプログラムの一環。
人間が生きるための。




そんな風にDNAにせまった見方で人間を眺める時間になった。
なんだか細胞をゆさぶられた気分。
生きることがなんだかかえって、面白くなった。



映画の公式サイトはコチラ