ムーミン童話の世界事典

ムーミン童話の世界事典

ムーミン童話の世界事典

「あけぼの子どもの森公園」西武池袋線元加治駅から徒歩20分)という公園があります。
フィンランドの作家トーベ・ヤンソンさんの『ムーミン童話』の世界を取り入れ、「自然との共生・自我と自由の尊重」という理念の公園。
園内に、すべり台やブランコなどの人工的な遊具はなし。自然に囲まれたこの公園で、子どもたち自身が遊び方を見つけ、自由に遊びを創り出していく公園。


そして、あのムーミンの家が再現され、自由に入ることができるんです。



さて、本ですが、目次を見ると、「雨」「結婚式」「冒険」「おさびし山」・・・とあり、ムーミンの世界におけるそれらの存在を紹介します。
ムーミン全作から場面をピックアップしながら、この童話を読み解くカギを散りばめています。
ピックアップされた場面がどの作品のどういうものなのかという説明もあり、読んでいない作品に気持ちを誘われたりも。


楽しいエピソード、哀しいできごともちょっぴり紹介。
たとえば、クリスマスはムーミン一家にはなんのことだか分かりません。
だって、彼らは冬眠してしまうから。
だから、「クリスマスがやってくる」とごちそうを用意するみんなの様子を知って、ムーミンパパは「はらぺこの恐ろしい来客がやってくる」のだと思ってしまったのですね。


日本アニメでのムーミンは、かわいいキャラクターになってしまっているけれど、お話には哲学や自然の中にいる個としての厳しさや孤独への願望・・・そんなものがつまっています。
この事典では、言葉の説明ではなくて、ムーミンの世界観を伝えてくるのです。
フィンランドで育った著者トーベ・ヤンソンとこの童話との関係や背景も描かれています。



この事典を読んでから、「ムーミン谷の仲間たち」を読んだら、ぐんとおもしろくなりました。
大人が読む童話としてオススメかも。
意外と気持ちが凛とします。

ムーミン谷の仲間たち (講談社青い鳥文庫)

ムーミン谷の仲間たち (講談社青い鳥文庫)