武士の家計簿 

uiui2011-01-06


実話に基づいた映画だったんだ。
単純な危機乗り切りストーリーじゃなかったよ、全然。
お気軽なコメディじゃなかったんだ。
前日に「龍馬伝 総集編」を見たので、背景となる時代がかぶるこの映画と気持がリンク。
切り詰め生活の中での「囲碁」などの工夫は、吹き出すほど楽しいものだけどね。



晦日に観にいってよかった。
なんだかすごくいい気持になった。
「親子」という視点でも共感が持てる。


幕末の加賀藩で、代々ご算用者を務める猪山家。
藩の財政担当の会計経理係だ。
武家でありながら、お家芸は剣術ではなく、そろばんと筆なのだ。
しかもこの猪山家は、袖の下などは受け取らない生真面目さが何よりの財産。
由緒ある家柄とはいえ、下級武士(足軽の1つ上)なので、家計が苦しい。
武家といえば、体面が大事。お金がなければ、借金をしてでも面体を保つのが常だけれど、猪山直之はそうしなかった。



「面体ばかり気にして、うわべを繕う方がみっともない」



家財や家宝、果ては妻の嫁入り道具まで売り払って借金返済に充て、更に細かい家計簿をつけ、家計を切り盛りする。
親の葬式が行われる傍らで、葬式代のそろばんをはじく姿に、息子は反発を覚えるが、幼少時より父から厳しくそろばん(財務や会計)と筆の高い技術を身に付けた息子はそれで人生を切り開くことになる。
後の新政府で海軍主計大監となる猪山成之だ。
厳しいスパルタ教育で、冷たいと思っていた父の本当の想いを知ることになる。



主演の堺雅人さんは、シビアな場面でも微笑んでいるように見えるお顔立ちなのだな。バンドウイルカのような人だ。
仲間由紀恵さんは、困った表情がうまいなあ。
なんとなく主陣のセリフまわしがスムーズでなく、現代劇っぽさが出てしまっている感じもしたけど、西村雅彦さんや草笛光子さんが時代劇の質をぐいっとあげてくれている。


映画館に「北国新聞」(フリー)が置いてあった。
武士の家計簿」の特集記事。


武士の出費で大変なのが「交際費」なのだけど、当時の猪山家の収入は直之が700万円、その父の信之が530万円で、借金はあれやこれやで2504万円だったそうだ。
しかもその頃の借金は高金利で、1年の利子だけでも400万円くらいだった可能性があるとか。
猪山家の家計簿は、まだちゃんと保存されているそうだ。
直之の父、信之(中村雅俊)が東大の赤門建築に尽力したのもほんとみたいね。