マンマ・ミーア

マンマ・ミーア! ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

マンマ・ミーア! ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

いいトシした女性たちが恋を語り、踊り、歌う。
でも、そこに見る人が恥ずかしくなるような気持ち悪さはない。
でもでも、露出されている肌も開き直った感覚もかっこよくはない。
弾けるような若さたちに立ち向かえるものは、もうない。



歳を重ねることの残酷さと、重ねてきたものの煌きの間に、ずっと変わらずにあるものを見事にすくい取ってる気がした。
友人たちの挑発に、布団をかぶって逃げて泣いても、いつの間にか体でリズムをとり始めるドナの姿からは、彼女の中で地熱が老いることのない芯を守っていることが伝わってくる。
心の中で自分を負け犬と認めて受け入れていながら、絶対に自分を見捨てない。
芯が老いないということは、思うようにならない自分といつまでも闘っていかなくちゃいけないので、不幸なことなのかもしれない。
だけど、私もそうありたいな。




ただただ楽しい映画なのだと油断していた。
昔「グリース」(映画版)を観た時と同じような動揺をしている。
感動じゃなくて、動揺なのがおかしいけれども。
もともと音楽と歌と踊りが絡まりあってなにかを表現しているのを目の前にすると、心がフルフルして涙まで動員してしまうという性癖があるので、ハンカチ出動回数多数。
映画でありながら、舞台であり、ミュージカルであるので、昼メロ的に暗くなりがちなテーマが紅白歌合戦小林幸子さん的明るさに変身だ。
ほんとは1人で暗い酒場でグラスを傾けてるはずの女性が、太陽にさらされながら踊って、笑いまで起こしている。
その生きる勢い。
目線だけでも演技ができるメリル・ストリープ自身の風格が、ともすればピアーズ・ブロスナンを圧倒しそうになるけど、彼女のかわいらしさがそれを防ぐ。
鼻を真っ赤にして泣いちゃったりしてね。





振りつけが楽しい!
ギリシャの太陽と海に合った明るさと、サラリと見せる卑猥さと、大女優たちの実力で圧倒させる強さが場面ごとにめくりめく。




アバの名曲が勢ぞろい。
以前は、彼らの曲の歌詞にあまり興味を持ったことがなかったためか、背景イメージが沸かない音楽だと感じていた。
CD以外で聴くことのない音楽かと。
アルバムを聴いていると、最後の頃には飽きてしまうこともあったほどだった。
だけど、この映画と組み合わさった時、今まで声しか知らなかった人の姿や表情を知ったような衝撃さえあった。

アバ・ゴールド

アバ・ゴールド




新宿バルト9は、2007年にできた映画館で、趣向がおもしろいよ。

ロビーは、ホテルや海外の空港みたいだし、緩やかなカーブの階段の上には、舞台のようなスペースもある。
これから入っていく映画という非日常空間への入口にふさわしい感じで、ワクワクするよ。
ハンモックカフェは、イスの代わりにハンモックがぶら下がっている。

実は、もう一度この映画を観にいこうと思っている。
今度は、娘たちと一緒に。