日本映画の歴史館

uiui2008-07-16



ぴあフィルムフェスティバルでの受賞作品を上映していたので、その中の「休憩」(10分・8mm・カラー)と「東京白菜関K者」(62分・8mm・カラー)を見ようと思っていたのだけど、スケジュールが合わず。
頭が白菜になってる人が出てくる映画、見たかったなあ。








そこは、東京国立近代美術館 フィルムセンター(京橋)。





でも、常設展示と特別展「映画資料で見る映画の中の日本文学」は見応えがあった。
まさに日本映画の歴史館だよ。



この特別展(7/20まで)は、当時書かれた小説を映画化した道程を、スチル写真・ポスター・シナリオなどでたどる。
今は「古典」「純文学」なんて言われてる作品が、華々しく映像という形で翻訳されていった時代。
金色夜叉」「阿部一族」「舞姫」「にごりえ」「破壊」「痴人の愛」「或る女」・・・
今、老齢役のあの俳優さんたちがキラキラとヒーロー・ヒロインとして、そこにいる。(写真やポスターだけど)
それらの本をもう一度読み返したくなる衝動に駆られた。



それにしても、常設展が侮れない。
そんなに広くないのに、見るのにすごく時間がかかった。


1.日本映画草創期
2.無声映画時代
3.トーキー革命
4.戦争時代
5.戦後の黄金期


にテーマが分かれている。
1896年(明治29)にエジソンのキネトスコープという映写機が日本にやってきた。
1897年(明治30)には、リュミエール社のシネマトグラフ、そしてエジソンのヴァイタスコープ。
そして、1912年(大正元年)には、日本活動写真株式会社(日活)が生まれる。

1の展示では、当時の映写機ヘッドマシンや、日本に初めてできた映画スタジオ「吉沢商店」「Mパテー商会」「福宝堂」「横田商会」の撮影の様子や、そこで撮られた映像を見ることができる。
Mパテー商会の「南極探検」は、実際に南極探検の時に同行して撮ったもので、カメラが極寒によく耐えたなあと感心。
みんなでペンギンを追いかけている場面に笑ってしまった。
こわごわな日本人に対して、ペンギンがえらく迷惑そうにのんびり追われてるんだもの。
横田商会では、日本初の映像の「忠臣蔵」を数分間見ることができる。




2の無声映画は、見てるだけでは、全く物語の全容が分からないものが多いそうだ。
この映画は、すでにストーリーを誰でも知っているものを題材にすることが重要で、つまり無声映画は、ストーリーのイラストレーション的存在だったのだ。



どのテーマにおいても、とにかくスチル写真や各時代で撮られた映画(数分間のみ)がたくさん見られて、変遷を実感できるのが魅力。
「忠次旅日記」では、発見した古い映像を復元する前と復元した後を比較。
また、映写速度:秒速24コマで映画を撮ったのに、秒速21コマが主流になってしまって、それでもなんとか24コマで上映することができたというエピソードについては、「ふるさと」を24コマと21コマの両方で見せて説明する。
歌の速度やトーンが全然違ってしまうんだよね。
そんなおもしろい視点もあり。
「狂った一頁」のカミナリの描写もなかなか♪




意外におもしろかったのは、入口にはいってすぐにあるリュミエール兄弟による日本を捉えた最も古い動く映像と言われるものたちだ。
演技ではなくて、日常を撮影したもの。



・家族の食事
・身づくろいする日本の女
・日本の宴会
・日本の剣術
・日本の舞踊〜人力車に乗る芸者
・水田に水を送る水車←ふんどし姿の男性が水車の上に乗って楽しそうに回している



・・・などなど。
おそろしいほどに日常感があって、しばらくそこに立ち止まってしまった。


日曜日に行ったのに、全然混んでいません。(監視の方が眠そうだった)
200円の入場料でお得♪







帰りは、数年ぶりの早稲田のティーヌンで、数年ぶりのトムヤムラーメン。
以前、バンド練習の後で食べたんだよね。
こんな味だったんだ。忘れかけてたな。
パクチー、おいしー。