硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙 [DVD]

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第2次世界大戦時に、アメリカ軍に取り囲まれた日本軍の悲劇的な戦い。
監督は、アメリカ人。
クリント・イーストウッドだ。
出演は、渡辺謙ら。


陸軍中将の栗林が、本土防衛のため硫黄島に向かい、指揮官となる。
体罰をやめさせたり、作戦をきちんと情報分析したものにしたりと、古い体質の軍部を改善し、兵士たちを励ます。



まるで、苦しい戦況と思われる中でも、努力すれば、報われるかのようだ。
まるで、奇跡が存在するかのようだ。
まるで、生きて、また大事なあの人たちに会えるかのようだ。




「手紙」は、決して、本土の家族から届いた手紙への返信ではない。
ひたすら書くのだ。
それだけが、自分が生きている証だと言わんばかりに、魂を塗りこめるような作業だ。
送る宛もないのに、それが最後の本土とのつながりの一筋であるかのような思いで、書くのだ。



ものすごくグロテスクなシーンがあるわけではないけれど、あぁ、これが戦争なんだなと、右脳で感じる。
それは「死」と呼ばれるような尊さなどは微塵もなく、爆薬が破裂した時にたまたまそこにあった岩と同じように、吹っ飛ばされるだけだ。



逃げ道もなく、誇りもなく、ただその日にまだ失われずにある自分の生と感覚をなるべくのっぺらぼうにして、想う人たちへの気持ちを手紙へ封じ込める。



アメリカ人監督なのに、米国の兵についても、容赦なく描いている。
どちらの国の兵も、同じなんだ。
悲しいを通り越す。