無料の情報誌が有料になった

uiui2008-04-06


以前ちらり書いた環境と社会貢献と「志」のビジネス情報誌「オルタナ
我慢を強いるギスギスした勅令みたいな内容じゃなくてね、楽しい。
ワクワクが伝わってくる。
「おいしそう」とか「製品を使ってみたい」というのも湧いてくる。
社会責任とはいえ、消費者(利益)を意識してる企業ならではの視点があるからだね。
「リサイクル」が、実は、「捨てている」であることを知ったのもこの情報誌から。




昨年創刊されて1年経った今、有料になった。
当初は「継続的に無料で配送」ということで登録した人も多いはずで、2万人になった読者登録をしていた人たちに編集長である森摂さんから、2月にお詫びと経緯説明のメールが届いた。


「少しでも長く、無料配本を続けていきたかったのですが、やはり2万部(無料配本分)の印刷費と配送コストや、日米欧にまたがる取材網の維持、取材体制の拡充などを勘案すると、誠に不本意ながら、完全有料化を決断することになりました。
私たちにとっての最大の使命は、今後とも長く雑誌オルタナを続けていくことです。来年の月刊化を目指して、編集部一同、さらに努力していく所存です。
そもそも、私がオルタナを始めたのは、パタゴニアの創業者との邂逅がきっかけでした。・・・(略)」




無料読者が購読することについての強制はなかったけれど、有料化のお知らせに、怒りをもつ読者もいたからね。
それでも、誌の真価が試されることになるから、決断は大きなものだったと私は感じた。





雑誌というには厚みは少ないのに、内容は、世界各国日本全国の企業の実情と取り組みをリサーチしていて、私にとっては、拙い環境ビジネス情報たちを結びつけて現実として披露してくれる存在だ。
そこには、きれいごとだけでなく、実際に巨額の投資をして、企業の社会的責任(CSR)に向けて動き、ビジネスとしてきっちりと利益を得ている企業が並んでいると感じられた。
「レジ袋」の外側の世界が見えるよ。





正直なところ、私は購読するかどうか迷った。
私のようなちっぽけな消費者がお金を払って読む必要があるかなと思ったから。
20年度は、1年間6回発行で3,000円。
だけど、新聞やwebニュースだけでは伝わってこない視点が山盛りだ。
流行ちっくだったり、新興宗教的な環境運動とも違う気がする。
先日のフォーラムでお話を聞いた藤井良広さんや以前参加していたビジネス系MLで主催者をされていた阪本啓一さんのセミナーも用意してるらしい。
私は、購読料を振り込んだ。






第7号でおもしろかった記事と気になる用語


オルタナティブ文明論

ヘーゲル弁証法の法則に、今後の文明の発展を予測(多摩大学大学院教授/社会企業家フォーラム代表 田坂広志さん)




・環境、CSR経営 世界ベスト77企業

1年前に「他とは違う企業」特集をやったけど、それをもっと視点を厳しく深くしてセレクトされた企業を紹介。
選ばれた日本企業では、「池内タオル」。
「風で織るタオル」は、使用電力すべてを100%風力化している。100%はすごいなあ。
環境問題で、「できるだけ○○しよう」とか「とりあえず○%達成させよう」となると、切迫感が俄然落ちる。
「トリオドス銀行グループ」は、社会的・環境的・文化的な付加価値を生み出す企業にしか融資しない。
日本のメガバンクに預金すると、預金者が反戦主義であろうとなかろうと、クラスター爆弾などの製造関連企業に融資されるというのは、先日参加したNPOバンクフォーラムでも聞いた話だけど、この銀行はお金だけでなく、意思をも預かるのだね。
製造業なら、環境のためにできることが思いつきやすいと思うけど、通信業や旅行業の企業もセレクトされていて、とりくみも色々だ。
楽しくなってくる。



・カーボン・オフセット

事業活動や日常生活で排出される温室効果ガスの量を金額に換算して、植林したり、途上国の持続可能なエネルギーに投資することで、排出量を相殺すること。
「排出を減らす」だけでなく、「自主回収」(する仕組みに投資など)するんだね。
オフセットのための診断やソリューション提供をする会社もある。
それにしても、この「換算」というのが、なんだかいつも臭うのだよなー。
うちのカメのぴょこり嬢は、分速11mほどのスピードで走れるけれど、実際に11mを続けて走れない。数字の無意味さというか、落とし穴というか・・・そんなものを感じちゃうんだ。





他にも、私自身がなんとなくイメージしている「やってみたいこと」アンテナに、カチリとチャンネルが合う情報もある。
とりあえず購読第1号は、「読んでよかった」だった。



雑誌って、ほんとに読者が育てるものなんだなあ。