ブレード・ランナーブレードランナーアーティスト: サントラ,ヴァンゲリス出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン発売日: 2007/02/21メディア: CD購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (17件) を見る

残酷なシーンのあるSFは、触手があまり動かないのだけれど、「不思議惑星キン・ザ・ザ」と「未来世紀ブラジル」を観にいったと伝えたら、友人が是非コレを見るようにと持ってきたのが、「ブレード・ランナー」のVHSだった。
「ブラジル」がまだ未消化状態なので、アクの強いSFを観る気になれず、





「コワイの得意じゃなくて・・・」






と言ってみたけれど、










「是非観てください」
 (きっぱり)






家で再生しようとしたら、1秒も見てないうちにテープが機器にからまって
逝ってしまった。(他のVHSは全然平気なのに)顔面蒼白。
さいわい?、そのVHSは、中古で300円だったということで弁償も痛くなかったからよかったけど。
もうヤだ。
観るなというお告げに違いない。






数日後。
得意げな顔で、友人はやってきた。







手に入れました!!







そこには、映画制作25周年記念の4枚組みDVDがあった。
現存する5バージョン全て収録し、豊富な特典映像も満載というもの。






これなら、壊れません!







・・・・ありがと。







とりあえず、友人のお勧めのファイナル・カットを。
(というか、これ以外は観る価値がないと断言された)
5つのバージョンの中にはエンディングが違うものまであるんだね。





以下、ネタばれ系の文章となっています。



人間が宇宙での労働をさせるために作ったアンドロイドである「レプリカント」は、そのうち感情を持つようになり、人間を超える能力をもって、地球に戻ろうとする。
すでに地球にはいった5体のレプリカントを殺すのが、特別捜査班「ブレードランナー」であるリック・デッカードハリソン・フォード)の役目だ。
レプリカントと人間を見分けるプロでもある。
機械の感情と、機械に劣るともいえる生身の人間の感情の交錯。
そして、映画のポイントとなるのが、人間が自らを守るためにレプリカントしておいた設定。



それにしても、街並みや雰囲気の作りが緻密だ。
近未来都市なのに、汚い街。
「日本」も俳優さんだけでなく、電光掲示板の芸者さんや「強力わかもと」など、いろんなテイストとして登場するのだけど、それは「海外での日本」を超えて、「近未来都市での日本」であって、不気味さを醸し出している。
他にも細かい芸がたくさん潜んでいそう。
スシ屋台のおじさんは、印象が強烈。
デッカードの英語に対して、日本語が通じなくてうんざり顔をした直後に、
デッカードを連行しに来た者たちの妙な外国語をちゃんと理解して通訳してるし。




上映当時は、E.T.の大ヒットに隠れて、さんざんな酷評を受けたのに、その後だんだんカルト的人気を得てきたのは、上記のような異様な空気が理由の1つかも。





友人の指摘。

その1.屋台のおじさんが「2つのネタで十分だよ。」というのに対し、デッカードは「4つ!それから、ヌードル1つ!」と断固として注文を変えないが、これはまだ戦いに巻き込まれていないデッカードが無意識に、これから倒すことになるレプリカント4体とレイチェル1体を暗示しているのだ!



その2.目がつぶされるシーンがあるが(ひー)、2020年という設定自体が2つの目を表している。
アメリカでの視力は、20をMAXとして測定され、2020は両眼を表すとのこと)





などなど。
へええぇぇぇぇ。
ほんとー?




そういえば、デッカードの台詞に「昔、女房に“あなたはスシのよう”と言われたことがある」(冷たい男だ)というのもあったなあ。




出だしの流れとエンディングが、実はなんだかしっくりこない気もする。
レプリカントと人間の戦い!が本流だったと思ったら、いつの間にか潤いのあるストーリーになっていて、あれ?・・・みたいな。
ラストシーンでの、レプリカントのリーダーであるバッティの台詞はアドリブだったんだね。
ほおおぉぉ。





とりあえず5つのバージョンの違いを調べてみた。





●リサーチ試写版

公開前、観客の反応を見るために行われた試写バージョン。
監督が意図した作品に一番近い。
スシ屋のおじさんの言葉を押し切って注文したトッピング4つの正体が唯一確認できる版。



●初期劇場公開版
リサーチ試写版で不評だった点を改善。
ハリソン・フォードのナレーションの追加およびエンディングのハッピーエンド化。
最終シーンの空中撮影は、『シャイニング』のオープニングの別テイク。




●インターナショナル・バージョン
ヨーロッパや日本で公開されたバージョン。
微細な変更あり。ビデオ発売時には「完全版」と称して発売された。




●ディレクターズ・カット
段々人気が出てきた本作に対し、リドリー監督が本来意図した「ブレードラン
ナー」を見たいというファンの要望が高まってできた。
ユニコーンの夢”シーンが追加される。
「リックは人間であるか?レプリカントか?」という論争が再燃。




●ファイナル・カット
高画質の視聴にも耐えうるクオリティになっている。
アイスホッケーマスクを着けて踊る女性達のシーンや、完全版でのみ見られた暴力シーンが復活。




ふむー。
友人にもう一度借りて、全部見ようかな。