体験:無声映画+弁士+楽隊=活動写真

 
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70〜80年も前に日本にあった無声映画である「活動写真」。
シワみたいな線やら、黒いムシみたいなものが常にちらついている映像。
そんなモノクロの無声映画に、弁士が、




台詞と
ナレーションと
効果音と
音のない間のニュアンスまで





肉付けしていく。
独特の間とリズムのおしゃべり。
音楽は、生楽団だ。
それを再現したイベントに参加した。
これは、映画館というより、ライヴだね♪♪





喜劇3本。
弥次喜多 岡崎の猫退治」
豪勇ロイド
キートンの蒸気船」





この映画を提供したのはマツダ映画社。1952年設立。
この会社は、自ら弁士であり、映画フィルムコレクターだった社長が作った、日本で唯一、無声映画を専門に扱っている会社なのだそうだ。
 http://www.matsudafilm.com
無声映画鑑賞会」というのもあるらしい。
入会しようかな。





今回の弁士は、世界でも活動する澤登翠(さわとみどり)さん。
楽団が演奏をつけたのは「豪勇ロイド」だけなのだけど、これは「みたかジュニアオーケストラ」のみなさんが受け持つ。
「ジュニア」だからと甘くみてはいけません。
ここの指揮者は、小澤征爾さんに「教える自信がない」とまで言わしめた内藤佳有(ないとうかある)さん。
小5〜高3までのメンバーたちが奏でる音は、まるで音大吹奏楽部の演奏みたい。
きっちり映画に寄り添うんだよ、これが。





もう楽しくってねぇ。
年月たっても、笑いは変わらないなぁって思った。
大人も子どもワッハッハッハである。
でも、その一方で、映像技術が発達した現在の目線で見てるから可笑しいと思えるポイントもあるのも確かだ。




弥次喜多」は、CGも特殊メイクもない時代なので、ものすごい着ぐるみの猫が登場する。
猫が かーっ、 て。


かーっ!!!






ドタバタコメディの原点をみた感じ。
こんな笑いには、とうに飽きていると思っていたのにやっぱり笑っちゃうねぇ。
時々出てくる字幕のフォントは、どうしてあんな読みにくい砕けたものなんだろう?
フォントまで喜劇ちっく。(笑)
 


豪勇ロイド」は、臆病な青年が勇気を持つようになる話。
出演者と小道具大道具たちが一緒に舞うようなテンポでありながら、登場人物の超真面目な行動が不釣合いで、やっぱりワッハッハなのだ。
ドキドキしながら見守りながら、でもドタバタへの期待は止まらない。
 

豪勇ロイド [DVD]

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キートンの蒸気船」は、私にとって初めてのキートン映画だ。
チャプリンはいくつか観てるのに、キートンは初めて。
映画の中で一度も笑わない彼が、観客をこんなに笑わせるのには、ものすごい芸が隠されているからだと感じる。
身のこなしがものすごい。
ぜんまいじかけの人形のような、サルのような。
笑いを強制されることなく、観客は次を待つ。
キートンは、じらしたり、出し惜しみもせず、笑いの波を送ってくる。いくらでも送ってくる。
せつなくなるような設定さえ使って、観客をくすぐり倒すんだねー。
笑いのテンポもどんどん早くなり、笑いの大きさもどんどん大きくなり、大道具の動きも豪快・・・・





最近のお笑いの中には、繰り返すことで観客の方が笑う訓練をされているかのごとく、笑わされているというのも多い気がする。
もちろん、それも立派な笑いだね。
でも、この台詞もない・時には表情もない・技術による特殊効果もない・・・・
そんな状態で観客をひきずりこんで笑わせるなんて、すごいよ。
人を怒らせたり、泣かせたりするより、笑わせるのってずっと難しいことだと思うんだよね。



弁士という芸もおもしろい。
文字の翻訳の違いでさえ映画のおもしろさはぐんと変わってしまうだろうけど、それをライヴでやっちゃうんだもの。
今回の蒸気船は66分の作品。
1時間以上ずっと台詞だの音だのしゃべりまくってるんだからね。
私には無理だ・・・←話すの苦手



また観たいなあ。