さよなら、樹

uiui2007-07-18


大きな大きな樹。
樹齢200年といわれるけやき2本は、幹を抱えるのに大人2人が必要かも。
空を隠すほどのイチョウが1本。
お人好しそうな、空中に釘を刺しているかのようにまっすぐなセコイアは、毎夏、何十匹ものセミが孵化していた。
それから、鳥の落し物にはいっていた種が成長したと言われ、その実を食べに鳥が集まる樹は、「鳥が育てた木」と呼ばれている。




それらを全て切り倒してしまうのだそうだ。



私有地なので、反対運動までは起こらなかったけど、惜しむ声があちこちから挙がった。
伐採費用が数百万円であるのに比べ、移植となると数千万になると聞いたことがあるけど、他に切らないですむ方法がいくらもあるようにけどなあ。
いよいよ切られる日が間近。
今日は、神官さんがやってきて、御祓いをした。



その土地はとても科学的な目的に利用されているので、神頼みという行為はやや不釣合いな気もする。
でも、多分、樹を鎮めるのと同じくらい、切る人間の気持ちに折り合いをつけてくれる作業なのだろう。
お葬式に近いね。
200年もの寿命を、たかだか100年くらいしか生きられない人間に有無を言わさず切られてしまう。
江戸時代のことだって見てきたかもしれない樹なのに、なんだかなぁ。
御祓いに参列した人の中には、地面から芽を出している樹の子どもを他の土地に植え替えている姿もあった。



ちょっと話はずれるけど。
人間が、他の生き物と違って、満腹になってももっとおいしいものを求めたり、得ても得ても財を欲したりするのは、人間であることが不安で仕方がないからかもしれないなあ。
戦争を繰り返すのも、人間が弱い生き物だと知っているからこそ、なにかを破壊したり殺したりすることで、人間は強いと錯覚したい本能が働いているじゃないかと考えてしまうこの頃。



ぱちんっ!




しまった。
御祓い中に殺生を犯してしまった。
ごめんよ、蚊。