出張とタンパク質

仕事柄少し知っているのだけど、宇宙飛行士が宇宙へ飛び立つのは、事務処理上は「出張」となる。
宇宙飛行士の山崎直子さんの


出張先は、「低軌道国際宇宙ステーション」。


ホテル代や食事代の精算はもちろんない。




ロケット打ち上げなどの特殊業務に就くとなると、一般的な勤務体系では勤まらなくなるのだけど、それでも職員の健康や労働権利を守るために、勤務規定が設定されたり、業務連絡が流れたりする。
それらは組織全体のものなので、打ち上げに直接的関連のない部署にとってはなんだかフィットしないような不思議な感覚になったりすることもあるけれど。



それはさておき、朝日新聞の記事は、山崎直子さんの





「私をママさん飛行士と呼ぶのを止めていただけるとありがたいのですが」





という言葉から始まっている。
三菱系企業の技術者としてISSの管制をする訓練を受けていた夫の大地さんが、お嬢さんの育児やご両親の介護のために仕事を辞めて、更に直子さんの仕事を家族で支えるために、ヒューストンに移住して家事を引き受けてくれているからこそ、宇宙飛行士の仕事ができるからだそうだ。
自分がスーパーウーマンで、なんでもできるから、宇宙飛行士もできちゃうのだ・・・そんなことでは決してないというアピールらしい。





誰でも、仕事と家族の兼ね合いや転勤、介護で悩む。
それをその家庭に一番フィットする方法で乗り越えていく。
山崎家の場合、それが国境をまたいで行き来することになっただけなので、特別なことではない。
直子さんは言う。




「訓練には、安全に任務を果たして帰還するという『解』がある。でも、人生の解はそう簡単には見つからないんです」




なんでも自分の頭の中だけの理論で解決しないで、大きな謎に大して謙虚で柔軟。
そんな人間性が、この人の武器だろなー。
彼女には、是非、宇宙へ行って欲しいと思う。




隣に座っている直子さんに、管制官のふりをして携帯からプロポーズしたという大地さんとは、宇宙からの帰還後に結婚式を挙げる予定だそうだ。
是非、「地球人としての幸せの儀式」をしてほしいな。








さてさて、実は知らなかったこと。
アルコールでどうして消毒できるの?



消毒に使うアルコールは、居酒屋さんで飲むアルコールの倍の濃度。
このアルコールは、細菌やウイルスのタンパク質を変性させて殺すのだそうだ。
卵の白身を茹でると、白く固まって冷えても元に戻らなくなるという変化に似ていて、タンパク質にアルコールをかけると、タンパク質は元の働きができなくなってしまう。
こういう科学的な理屈がまだ分かっていない昔からアルコール消毒はされていたのだから、すごいよねー。



人間の皮膚だってタンパク質でできているのに、アルコールをかけたりしても大丈夫なのか?という質問も出ていた。
人間の体の表面は、死んだ細胞が重なった層や分泌物で覆われているから、大丈夫なのだそうだ。
むき出しになっている傷にはアルコール消毒は向かないけど。



いやあ、ののちゃんのDO科学(朝日新聞土曜版)は役に立つなあ。