ロココから20世紀モード「ポワレとフォルチュニィ」への散歩

uiui2009-02-26


まずは、

ポワレとフォルチュニィ」〜20世紀モードを変えた男たち東京都庭園美術館)。


昔の迎賓館を美術館としているので、建物自体が芸術品。
      

外見はそっけない感じだけど、内装は重厚で品格が高く、特に今回の展覧会にはぴったり。
美術館仕様でないので、いくつもの部屋に分かれているわけで、展示品の監視役の人の数が半端ではない。
マネキンに混じって座ってたり、足っていたりするので、つい監視役の人まで眺めてしまう。





・・・・ヤだな。目が合っちゃったよ。(多分、監視役の人も気まずいね)






建築家でもある内藤廣氏が「夜会」をイメージしてプロデュースしたのは当然ともいえる。
男性の来訪者(しかもなんとなくオシャレな雰囲気)が多くて驚いた。





ポワレもフォルチュニィも男性だけど、それまでコルセットで締め上げて、リボンやフリルで飾り立てていた女性の欧風ドレスをガラリと変えた人たちなんだって。
音楽も絵画も革新的変化を遂げた時代に、モード界も激変したらしい。





ポワレは、パリ生まれ。
父親に傘屋の奉公に出されたけど嫌で、自分のデザイン画を持って、高級服飾店をまわったそうだ。
その結果、「フライドポテトのような」と表現される服が気に入られ、雇われる。
イスラムや東洋のテイストを盛り込んだデザインが多い。
それまでの型をいれたり、飾り立てることが主流だった宮廷ドレスから一転して、型を使わず、女性の体の線や動きを布自体が美しく見せる役をするドレスを発表し一世風靡
布の裁ち方も直線的で、和服をとりこんだものもある。
ともすれば、現代女性がエイジングにより、くずれてしまった体型をカバーするために着ている服にも似ている・・・かな。
とにかく楽そう。





フォルチュニィ
は、スペイン・グラナダ生まれ。
服だけでなく、絵画・彫刻・インテリアなどデザイン界の一端として服にも関わったという感じ。
「デルフォス」というドレスが有名。
これも女性の体の曲線をきれいに出すしくみになっている。
まず布は、絹サテンに細かいギャザーがびっしり詰まっているもので、着ると、体の線に沿う。しかも、素材が光により色が微妙に変化するので、着る人の動きを優雅に美しくみせるのだ。
見た感じは、人魚姫がしっぽで立ってるよう。
他に、奇抜なデザインのものもあり。



どちらも形はシンプルなのに、襟ぐり・刺繍・袖口・ビーズ飾り・・・繊細で凝っていて、品がある。
ゴテゴテをと外見を飾り立てるのではなく、女性の内面からの美しさを引き出すことを意識しているように思える。


いつの時代も女性は、きれいでありたいと思っているわけで、当時のファッション情報の取り込み方や、これらのドレスの売られ方なども展示されているのもおもしろいよ。




また、これらの流行は回帰するものらしい。
現代でも、たしかに20年〜30年前の服がまた流行ったりするよね。
「過去と伝統なくして、創造的であることは不可能」というヴィヴィアン・ウェストウッドの言葉もあるんだって。




3月31日まで。
今回は庭園をスルーしてしまったけれど、お散歩にはちょうどいいね。





敷地内にある割烹金田中系列の「茶酒」で一休み。
レモン酒と名物「翡翠蕎麦」をいただく。
 





むー。
なんか物足りないけど、次へ。
時代を逆行する形になるけど、目黒駅西口方面に歩いて、目黒区美術館へ。



「祭の衣装展  ロココ時代のフランス宮廷を中心に」

マリー・アントワネット生誕250年記念や、修復が終わったヴェルサイユ宮殿の鏡の間のお披露目など、18世紀ロココの時代が注目されているそうだ。
この展覧会では、ローブ・ア・ラ・フランセーズと呼ばれるフランス式女性宮廷服がどっさり。
もちろん男性の宮廷服も。
  


ベルばら好きは急げ。


注目は、ダヴィッドの絵画「ノートルダムにおける皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌ戴冠式」から、絵の中で身に着けている衣裳を復元したというもの。
ものすごい。
着る芸術品。
贅沢って、あちこちにバラバラとお金をまくことでなくて、1点の物に、実用とか常識を吹っ飛ばすくらいに最高の質を注ぎ込むことなんだなと思う。
ナポレオンの裾の刺繍だけで、どれほどの手間と時間がかかるのだろう。
絵に描かれているロッシュフルコー夫人とラ・ヴァレット夫人の大儀礼服も復元されている。
既製品を着て立っている自分が恥ずかしくなったりする。
扇も繊細さがすさまじい。
私だったら、壊しそうで持っていたくないなぁ。


展示品の多くは、他の美術館や大学などで所蔵している本物。
大広間に舞踏会のように並べられているマネキンたちを見ると、新郎新婦の合同結婚式みたいで迫力ある。

ただ衣裳を並べているだけではないらしい。
髪型や化粧を新調したマネキンを使用したり、「マリー・アントワネットに捧げるコンサート」を開催したり、BGMにこだわったり。

マネキンの中には、オードリー・ヘプバーンに似てる子がいたぞー。
わざとかな?


3月29日まで。