NHKスペシャルドラマ 海峡(全3回中、第2回・第3回)

公式ウェブサイト
   ↓
http://www.nhk.or.jp/drama/kaikyou/


日本の終戦朝鮮戦争という歴史的背景にしながら、吉江朋子(長谷川京子)の21歳からの30年の人生を描きます。
釜山で生まれ育った日本人女性が、終戦を経て初めて玄界灘の海峡を渡って日本で生きていきます。
木戸俊二=朴俊仁(眞島秀和)は、日本で憲兵をしていたこともある朝鮮人
2人の間の海峡(国籍)に阻まれながら育んだ30年の思いが綴られています。
ちょっと「はいからさんが通る」を思い出したな。



最近の私は、1日のTV視聴時間30分以下。(天気予報も傍にいる人に聞いている)
当然、芸能人音痴。
映画は比較的よく見るんですが、恋愛ものはあまり進んでは見ない。
そんな私にはドラマを評する資格はなさそうですが、感じたことがいくつかあります。




先日、友人の結婚パーティーの3次会で出た話題。





「どんな女性(男性)でも選べる状況で、誰かを選ぶとしたら、どういう条件に基づくか?」



パートナーがいる人に対しては、





「どうしてその人を選んだか?」





というお題。






・・・・新郎新婦も同席の場で。(笑)





この飲み会では、ちゃんと答えは出なかったけど、このドラマでは出会ったその人を、それぞれ違った人生を歩みながらも想い続けます。
誰かを想い続ける映画やドラマはたくさんあるけど、相手から離れてしまっても、もしくは離れることがなくても、想っている間をどう生きるか。
そこがきっと、その人その人にしかないオリジナルな人生なんですねぇ。
朋子の選んだ生き方は、私にとって、とても気持ちよい。
人間らしい弱さとしたたかさをあわせ持っていて、違和感なしです。
「一途に想う」のはロマンティックかもしれないけれど、生きることを忘れてしまうのは人間らしくないと思います。
ドラマは、視聴者を悲恋で泣かせてやろうという意気込みよりも、そういったところを意識させてくれた点で好感持てました。




現在は、どんな所へでも自由に行けて、人と出会う機会も様々。
出会いをお金で手に入れることもできます。
ドラマでは、家族でさえ北と南、日本と朝鮮に裂かれてしまう時世のためか、人との出会いの価値が随分違うような感じを受けました。
偶然の出会いを自らの思いこみで神聖化するのではなくて、生きる力で必然に変えていってしまう・・・・そんな感じ。
あの時代に「自分を精一杯生かした」人と現代の感覚の人(もちろん全てではないけど)が、一緒に政治や教育や道徳・・・を語るのは、実はとても難しいことなのではないかとさえ思ってしまいます。




3回の放送で、30年を経過させるので、場面はどんどん展開していきます。
さっき桜が咲いていたと思ったら、また咲いてる。
しかも映像がずっと暗い。
うちのTVのせいかと思ったら違う。
これは、当時の生活を忠実に再現するためなのか、ドラマの雰囲気つくりなのか。




聞くところによると、ロケが大変だったそうで、終戦の年からの30年を再現しなければならないので、少しでも当時の風景の残っていそうな場所を求めて転々としたとか。
北九州、京都、大阪、滋賀、千葉、東京そして韓国のソウルと釜山。
ウェブサイトの記載によると、1つのシーンに何箇所もの場所が登場していることもあるそうです。
1つ1つが大事で、そしてつなぎ合わせた時の効果がこれまた大事というパッチワークのような作業ですね。
このドラマの制作に関わった知人が1つのロケ地の場所を教えてくれましたが、「このシーンがあそこかなぁ」と踏んでいます。(笑)




木戸の母親役のコ・ドゥシムさん、演技がずっしりしていてすごいと思いました。たくさんは登場しないのだけれど。
元帝大教授の古着屋の塚本さん(犬塚弘)もよかったなぁ。
闇市で商売してる姿は、悲しい同情を買うけれど、実は夜になれば一生懸命に論文を書いていて、正義を忘れない先生です。
朋子さん役の長谷川京子さんは、微笑んだ時の表情がとても素敵。
台詞まわしよりも大げさな演技よりも、自然な目線や表情が演技にのった時がよいですねー。
ひょっとしたら、女優をしているときよりも普段の方がもっともっと魅力的な方だったりして。
めまぐるしく転換していく場面と、どちらかというと少なめの台詞。
そんな中にその人の背負ってるものをフラッシュさせるような一言がいくつかあり、その台詞を光らせるのが俳優さんの自然な表情ですね。
ドラマ自体には、戦争のむごさはあまり露出されていないのだけど、時々流される当時の実写映像が背景となった重い時代を伝える重要な役割をしています。




そんなわけで、「悲恋もの」とは受け取らなかった私でした。












第1回は録画しそびれました・・・