窒息する母親たち
- 作者: 矢幡洋
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2000/05/01
- メディア: 単行本
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6/12の「人が人を裁くということ」とは違って、1つの事件について深く検証したものを読んでみよー。
事件は、1999年に真面目でおとなしいお母さん「山田みつ子」が、我が子の幼稚園つながりの子を降園のお迎え時に発作的に殺害したというものです。
記憶にある方も多いのではないでしょうか?
事件当時、ぞぞーっとしたので、私は報道をほとんど見ずにいたはず。
事件は突発的に起きたけど、でもいつ起きてもおかしくなかったという背景を検証します。
お母さん集団の恐怖というのは、幸い私はほとんど経験したことがないけれど、ここで紹介されるようなコワイ「仲間作り」が実際にあったとしても、端的に「育児に悩んで」事件が起きたとは決して言えないのです。
この本では、罪を犯した彼女の生い立ちから追って、事件がなぜ起きたかを検証しているのですが、読めば読むほど「事件は防げない」と感じてしまうのがいやなところ。
おもしろいのは、著者が高座から客観的に事件ファイルを読み上げているのではなく、自らの暗い記憶をだぶらせて、時に主観的に書いていることです。
罪を犯した彼女は、精神分裂症気味(あくまで傾向)で、これについても症状を詳しく説明してありますが、この病についても私はかなり誤解していたかもしれません。
真面目。
前向き。
失敗しても再挑戦。
という反面、
他人と接するのが苦手。
自分に対して否定的。
などなど。
うわー。きてる、きてる。
まさに私!という感じもしたり?
でも、これじゃあ、多くの人が精神分裂症気味ってことになるよねえ。
そんなこんなで、1つの事件を検証するって、本当に大変なことだわ。
罪を犯した人間の人生や心の中を陽にさらして、虫眼鏡で見回す作業。
検証しても、晴れやかな気持ちにはなれそうにないし。
重たい本だー。
なんか落ちたよ、私。